まだ 少し肌寒い季節
静かな住宅街の道を両耳にイヤホンを挿して好きな音楽をリピートにして聴く。
「はぁ…さむっ」
少し腕を自分の手でさすればほんの少しだけ暖かくなった気がした
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「ただいま〜」
まぁそんなことを言っても返事なんてないんだけどね
分かっているけどつい癖で言ってしまう
(お風呂入って、課題して〜 動画でも見ようかな)
別に広くもない部屋。一人暮らしには丁度いいくらい。 端っこにあるベッドに 身を投げる
バフっ という音とギシッと鳴るスプリング
そんな音だけが部屋に響き渡る。
──「ふぅ〜」
自分の髪から滴り落ちる雫は自分のパーカーにシミを作っていく
髪は…まだ乾かさなくていっか
(課題めんどぉー)
今日出されたそれと向かい合い いざ始めようとすれば
"ピロン"
なかなか鳴らないLINEの通知音が聞こえた
なんだろう? スワイプさせてLINEを起動させる
あ、光咲からだ 珍しい。
ん…?
「はぁ?!!」
私の大きな声が部屋に響いた
『来週、遊園地行くよ。ダブルデートで』
"ピロン"
『もちろん予定あいてるよね?』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。