菜子side
授業が退屈すぎて ずっーと窓の外をみていた
私が考えるのは
さっき、翔琉君のそばにいる女、白瀬乃愛。
あいつから言われた言葉が私の頭を反芻して苛立ちが収まらない。
翔琉くん、どうして?
・・・なんで、その目で白瀬をみつめるの?私をみてよ。あんな可愛げ無い子より…腹黒女より
──私の方が翔琉くんにふさわしいのに。
・・・ポキッ、シャーペンの芯が折れる。
こんなことをしても、少しの気休め程度にしかならない。
───・・・「あ、」
思わずもれた声。他のみんなは気づいてない
「な、んで?」
掠れていく声。
視界に入ったのは渡り廊下に 恋人繋ぎをしている
翔琉くんと
───白瀬乃愛
翔琉くんの顔は赤くなっていてーー、
瞬間 私の中の何かが切れたようなきがした。
「そっか。」
何か吹っ切れたような気がする。それと同時に翔琉くんへの愛おしさがとまらない。
これを、貴方へちゃんと届けます。
どんな手を使っても。
貴方の手は私のために。
貴方の横は私の席。
さっき、赤くなっていたのは気のせい。
その顔を見つめることができるのも私だけ。
口角が上がっていくのを感じた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。