上手く笑えているか分からない。
ジミンは何も言わずお風呂場に消えた。
また涙が混み上がってきた。
ダメだ。
泣いちゃダメ。
そんなことで泣いてどうする?
我慢我慢。
"痛み"という感覚が
私に戻ってきたみたいだ。
下唇を噛み締めながら
刺さっている破片をとると、
また襲ってくる痛みと悲しみ
それはまるで、
現実を突きつけられたみたいで。
泣きながら
散らばった破片を片付けて、
手にリバテープを貼る。
もう何も考えたくなくて
布団に潜り込んだ。
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それからいつまで経っても
ジミンは寝室には来なくて。
心のどこかで期待していた自分が恥ずかしかった。
小説やドラマでよくある
「寝ている彼女の頭を撫でながら、『好きだよ』」
っていうシチュエーションを待っていたのに。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。