そして、山田くんに別れを告げた
あの日から3年の月日が流れた。
日本に戻ってきてから、1年近く経つけど。
あれから山田くんにはまだ会っていなくて。
私の左中指には山田くんから
預かった指輪が輝いている。
手をブンブン振って、こっちにやってくる親友。
会うのは、卒業式以来で、就職して
社会人となった私たち。
今日は、人気が絶えずなかなか取れないコンサートのチケットが2枚当たったらしくて、その付き添いだ。
そう。そのコンサートって言うのが...。
Hey! Say! JUMPのコンサート。
あれからどんどん有名になって、
今や国民的アイドルである。
久しぶりに見る山田くんに、ドキドキしながら
コンサートは始まった。
山田くんたちが出てくるなり、
一際大きくなる歓声。
あの頃以上に大人の色気が出て、ますますかっこよさに磨きがかかった山田くん。終始目が離せなかった。
確か、前にもそんなやり取りをした気がする。
親友から紙を受け取ると書かれていたのは住所で。
ドキドキを抑えながらお店に向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。