ようやく落ち着いて、出てきた山田くん。
少しウトウトしてた時に、ドアを開けられたもんだから、ドアに背中を預けていた私は、弾き飛ばされた。
だいぶ、いつもの冷たい山田くんに戻ってるし、もう大丈夫っぽいし。とりあえず途中で買ったミネラルウォーターを渡して、帰ろうと思った時。
山田くんに腕を掴まれた。
あまりにその言葉は唐突で。
思いっきりでかい声で、頭おかしいんじゃないかと言わんばかりの返事をしてしまったではないか。
ちょっとまだ心臓バクバクしてるんだけど!
いきなり爆弾落としてこないでほしい。
びっくりしすぎたわ、絶対寿命縮んでるから!
そう言って、車の鍵を持って出ようとする山田くんを慌てて止めた。
まるで、気づかなかったと言わんばかりなんですけど...
この人、大丈夫かよ。まだ酔ってんじゃないの?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!