でも、と断ろうとしたけど、また頑固って言われそうだし、それも気に入らない。
オシャレな音楽を聴きながら、来た道を戻っていく。
なーにカッコイイこと言っちゃってんだ、山田くん。
俗に言う、残念なイケメンってやつだね。
それから無事に、地元の行きつけのスーパーでお酒を買って、家まで送ってもらって。
そう言葉を言い残して、山田くんは帰っていった。
それから、しばらくの間は山田くんと会うことはなかった。
親友曰く、山田くんたちは今、コンサート中らしくて、忙しいとか。
まぁどうでもいいけどね。
連絡来なくても関係ないんだけどね。
ただ、ついこの前まで、うるさいくらい連絡来て、会ってたから、少しつまらないというか...ただそれだけ。
学校からそのまま帰ってきて、出かけるのもめんどくさいから、久しぶりにベッドの上に寝転びながら山田くんからもらったキーホルダーを見ていた。
もちろん思い出すのは、あの日、海に連れて行ってもらった日のことで。
" また来ればいいじゃん "
って言ってくれた山田くんの声が、今も鮮明に残ってる。
ただ、流れで言っただけだったのかなー。
結構本気にしていたから、少し残念な気持ち。
あれから、音沙汰もない、山田くんからの連絡。
どうでもいいと思いつつ、少しモヤモヤしている自分がいた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。