山田くんと海に行った日から、あっという間に1ヶ月が経った。
もう、彼から連絡が来ることはないんじゃないか。だからといって、自分から連絡する気もないし、なんて思っていた時だった。
授業が終わって、どうせ来てないだろうと、とりあえずLI〇Eを確認すると...
" 山田涼介から着信がありました "
画面に表示されている、その通知を二度見した。
それも、なぜかメッセージじゃなくて、電話。
友達の輪から離れて、静かな場所で、電話をかけ直した。
だけど、山田くんは出なくて。
通知も50分前だし...と諦めて戻ろうとしたら、手の中で震え始めたスマホ。慌てて取れば
山田くんからの折り返し電話だった。
久しぶりの山田くんとの会話は、相変わらず、初っ端から喧嘩腰だ。
ツー ツー ツー
それだけ言うと、勝手に電話を切られて。
店長人の話を聞かない山田くんも相変わらずだと思う。
ってか、今来てるって!!
山田くんと今から会うってことだよね!?
あー、それならもっとオシャレな服にすれば良かった。今日いつに増して、ダサいんだけど、最悪...。
...ってちょっと待って!!
なに今。いやいや、山田くんと会うだけなんだからオシャレなんかしなくていいじゃん。うん。
とりあえず5分で間に合わせないとやばいと思って、門まで走って向かった。
この前乗ったから、山田くんの車はすぐ分かって、乗り込むと、すぐに発進した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!