その後、山田くんを連れて、ファミレスへ行った。
お客さん少ないから、いつか潰れるんじゃ
ないかって恐れはあるけどね。
山田くんが、ベシッとマスクを机に置いた。
ムキになってるその姿がちょっと面白い。
...あー、そこか。
そこは、自分でもずっと思ってた。
最後は山田くんらしさ全開で、強制された。
それから程なくして、山田くんが注文した
ハンバーグだけ机に置かれた。
ハンバーグ見ながら、嬉しそうな山田くん。
食べ物を目の前に待たせるのも可哀想だし。
って言うと、待ってましたばかりに食べ始めた。
もうさ、この人、遠慮って言葉はないのかな?
はいはい、良かったですね〜。
注文した食べ物がまだ来ない私への嫌味かっての。
人をバカにする言い方に呆れてると、
しぶしぶ口を開けると、
山田くんは自分のハンバーグを切って、
口に入れてくれた。
超恥ずかしかったけど!!
それより、何より、さっきまで憎たらしかった山田くんの優しさに感動して、なんだか無駄にドキドキして、心臓が痛い!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。