さっき来たばかりのような気がするけど、
あっという間に夕方。
高速に乗って、引き返す。
ひどい渋滞もなくてすぐ着いちゃいそう。
1日ってこんなに早く過ぎるもんだっけ
なんて少し寂しい。
ボーッとしながら、山田くんのことを見てしまってて、それに気づいたらしく声をかけられる。
鼻は高いし色々角度が美しいなって。
山田くんが、空いてた片手を私の顔の前に
出して来た。
でも、そんなこと言われたら気になるから
ハンドクリームを塗った。
それから、山田くんと向かったのは私が
リクエストしたこの前行った海だった。
車を停めてすぐ降りようとすると
って言われたけど、そんなの気にしない。
連れてきてもらったこっちのもんだ。
早速、海に向かって走り出すと後から
爽やかな顔で歩いてくる山田くん。
いつもの仕返しでそう返せば、山田くんが
ものすごいスピードで海の方へ走ってきた。
そう言われて、おでこにデコピンを食らった。
これが痛いのなんのってね。
はー!?
自分だっていつも言ってるくせに!
人のこと短足短足って!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。