それからあたしが学校に行けたのは一週間後の事だった。
てかね、あのー、あたし、かかっちゃってたんですよ。
インフルエンザ。
1回もかかったこと無かったのに!!
熱はすぐひいて、最後の3日間くらいマジで暇だった…。
つか、熱は別にあの雪が降った日のせいじゃなかったってことだ。
どこで貰ってきたんだろう…
そして今凛がインフルで出席停止中。
ごめんね、凛。
伝染しちゃったね…。
幸い、クラスのヤツらは伝染ってなかったらしい。
保健室まで来たあの3人、強くね?
「あなた!」
下駄箱で靴を脱いでると後ろから声をかけられた。
「あ、康輔。
おはよ。」
「はよ!
インフルだったんだって?
大丈夫?」
「あー、さすがに大丈夫。
つか3日前から大丈夫。」
早く学校来たかったんだよなー!
「あ、そうだ康輔、今日帰り暇?」
廊下を2人で歩きながら話す。
今日あたし、部活休みなんだよね。
「え、暇だけど、なんで?」
「前にお見舞い来てくれたし、この間も保健室来てくれたし…
なんか奢ろうかと思って!」
「え、そんなのいいのに!」
ブンブンと手を振ってみせる康輔。
まぁ、そー言うと思ったけど…。
「いーの!
あたし、奢らないと気が済まないから!」
そういうとこはキッチリしたいあたし。
若干強引だけど…
「佐伯と陽向は?」
ギク。
「佐伯は誘ってみる。
陽向は…どうせ部活だろ?」
それに…
なんか陽向の顔見れないし…
部活であってくれと心から願う。
「まぁー、そーだろうな…」
「じゃあ、放課後決定な!」
「おー、どこ行くの?」
「どこでもいーよ」
奢るって言い出したものの無計画。
どこがいーかなぁ…
「あ、駅前のジェラート屋は?」
最近できたとかみっちゃんと遥が言ってた。
「冬に!?
寒くねぇ?」
ははは、と康輔が笑う。
「あ、」
「ん?」
「あそこは?
ストルーレ」
「えっ、康輔甘いもの苦手じゃなかったっけ??」
“ストルーレ”というのはこの辺で有名なケーキ屋さん。
「まぁ、たまにはいいかなと思って。」
「康輔がいいならいいけど…」
「じゃ、決まりな」
ちょうど教室に着いてあたしたちはそれぞれ自分の席についた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。