第10話

恋なんて似合わない
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2018/12/27 13:04
それから1週間、あたしと陽向は一言も口を聞かなかった。


席が隣で話さない日なんて今まで無かったのに。


別に、大したケンカじゃない。


てか、そもそもケンカ?


ただちょっとムカついたからってだけだったのに。


ここまで話さないと、どうやって話したらいいかもわからなくなる。


まぁ、話すような用事もないけど。


でも…


話したい。


なんだろう、この感じ。


意地はってるわけじゃない。


話しかけ方を忘れちゃったみたい。


ん〜どうしたものか…


「…どうしたの、そんな悩んだ顔しちゃって。」


遥の声が聞こえ、我に返る。


そうだ、今はお昼の時間。


ぼーっとしてたせいで掴んでいたはずのウィンナーが弁当箱の中に転がっていた。


「あぁ、いや、なんでもない。」


やばい、最近このことしか考えてない。


「まるで恋する乙女みたいだったよ?」


みっちゃんはニコッと笑う。


「え?」


コイスルオトメ?


「あー、まさかあなた、好きな人が!?」


「はぁ!?

ありえないし!!」


どう勘違いしてくれてんだ!


「誰のこと考えてたのかなぁ〜?」


みっちゃんの“ニコッ”が“ニヤッ”に変わる。


「別に、誰のこと考えたとかじゃなくて!

最近陽向と全然話してねぇなと思って。」


恋ではなく友情に亀裂が入ってる話だ。


「ヒナタ…?」


みっちゃんがポカンとする。


「陽向くんの苗字って高橋だっけ?」


遥が確かめるように聞く。


「おー。」


「あぁ、高橋くんか!

あの人もかっこいいよね〜!」


「みっちゃんは誰でも“かっこいい”だな…」


この前もたしか康輔のことかっこいいとか言ってたよな?


「誰でも、って訳じゃないも〜ん!

ただ、建築科にはそういう人が多いってだけ〜っ!」


「…んで、その、高橋くんと全然話せてないから話したいなぁ…って?」


「う、うん…」


「声聞きたいなぁ、って?」


「うん…?」


「なんか好きだなぁ…って?」


「うん…って、違うわ!」


あたしの反応が面白かったのか、2人はクスクス笑っている。


「違うのー?」


「違う!

ていうか、あたしに恋なんて似合わない!」

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