第18話

目眩
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2019/01/01 13:19
「康輔、そっち抑えてて。」


「おーよ」


2時限目は実習。


今日の内容は組木。


木と木を釘とか使わず組み合わせるなんて、高校生にやらせるかぁ?


ムズすぎてさっきから失敗ばっかしてる。


それになんか、目の焦点が合わないんだよなぁ…


だから余計うまくいかねぇ…


「ちょっと、金槌取ってくるわ。」


そう言って立ち上がる。


「っ…」


急にあたしの目の前が歪んで真っ暗になった。





「…ん?」


ここは…?


ガバッと体を起こす。


いっ…!


頭にズキズキした痛みを感じる。


…ん、保健室か…。


…ん?


なんであたし、ここに…


「あのぉ…」


ベッドを囲うカーテンを少し開けて先生に声をかける。


保健室の先生は若くて優しい女の先生で、あたしは何度もお世話になってる。


「あら、起きた?」


先生は椅子から立ってこっちに来る。


「はい…」


「気分はどう?」


「まぁ、大丈夫です…。」


頭痛いし、寒気するけど。


「じゃあちょっと熱計ってみよっか。」


体温計がピピッ、と音が鳴って脇から抜くと37.4と記されていた。


それを先生に渡す。


「んー、やっぱりちょっと熱あるわね。

マスクしとこうか。」


マスクを手渡されるあたし。


「今親御さんには連絡入れたから、今日はもう帰りなさいね。

カバンは持ってきてもらうようにするから。」


「あ、あの…あたしなんで保健室に…?」


「あら、覚えてないの?」


「?」


んーと…


ダメだ、全然…


「花園さん、実習中に倒れたのよ」


「えっ…」


あ…


あの時か…!


確か、組木のために金槌を取りに行こうとして目眩が…


「それで、高橋くんが連れてきてくれたの。」


え、陽向が…?


そして先生は頬に手を当ててニコッと笑って言った。


「お姫様抱っこで」


「お、お姫様抱っこぉ!?」

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