第16話

優しさ
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2018/12/31 12:31
あたしは急いで玄関に向かい、ドアを開ける。


するとそこには康輔だけでなく、佐伯と陽向もいた。


「ど、どーしたんだよ?」


びっくりした…


「あぁ、花園、風邪だって聞いたからお見舞い。」


そう言ってコンビニの袋をあたしに差し出す。


「えっ…あ、ありがと…」


中にはプリンやらゼリーやらが入っている。


「優しーじゃん」


「別に、オレは隣の席だから先生にプリント頼まれただけだ。」


カバンから封筒を出してあたしに手渡す陽向。


「もー、そーゆーこと言わなくていいんだよっ」


せっかくちょっと感動したのに〜…


「ったく、昨日風邪ひくなって注意したのによー…」


ははは…。


ほんとにな…。


「いやぁ、まさかあたしも風邪ひくなんて思ってなかったよっ。」


多分熱はもう下がってるけどな。


「昨日って、2人で会ったのか?」


康輔が加わる。


「2人、っつーかあなたと妹が公園で遊んでてたまたまだけどな。」


「あぁっ!!」


あたしは思い出して叫んだ。


「っ、なんだよいきなり大声出して。」


佐伯が耳を塞ぎながら言う。


「マフラー!」


昨日借りたんだった!


急いで部屋まで行き、マフラーを取って戻る。


「あー、明日でもよかったのに。」


「それじゃあ陽向が寒いじゃん。」


「へー意外。

あなたでもちゃんと紙袋に入れて返すんだな。」


「なんだよ、失礼な!

するわっそれくらい!」


べー、と舌を出してみせると康輔は、わりぃ、と言って笑った。


「てか、なんでこんな早い時間に?」


いつもなら4時まで授業でそのあと部活もあるのに…


「忘れたか?

今日から面談週間だからはえーんだよ。」


あぁ、そーいやそうだったっけ。


「んじゃ、寒ぃし、もう帰るわ。」


「明日はちゃんと学校来いよっ!」


「おうっ、明日は行ける!

ありがとなー!」


手を振って3人の後ろ姿を見送る。


…と、ん?


1人、佐伯が走って戻ってきた。


「え、なんか忘れ物?」


つっても何も置いてないけどな。


家に上がってもないし。


「言い忘れ。

まぁ、聞いても『で?』ってなるだけかもしれないけど。」


「なに?」


「お見舞い行こうって言い出したのも、何か買ってってやろうって言ったのも、陽向なんだよ。」


え。


「さっきはアイツ、冷たくあしらってたけど、多分一番心配してたから。」


「こんなただの風邪で?」


「花園、今まで1回も休んだこと無かったじゃん。

だからじゃない?」


あーまぁ、無遅刻無欠席だったからな…。


「まぁ、それだけ。

じゃーな。」


「あ、うん。

ありがと。」


なんだよ陽向、かわいーとこあんじゃんっ。

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