「どーゆー…こと…?」
陽向が、目を覚ましてない…?
だって木材はあたしの上に…
「あっ…」
…思い出した
陽向は…あたしを庇って…
じゃあ…
陽向は今…
「おかーさん、陽向どこにいんの。」
「えーと、401号室だったかしら」
「ここは。」
「504よ」
上か。
あたしはベッドを飛びたし廊下に出る。
「ちょっと、あなた待ちなさいっ!」
お母さんの制止はほぼ耳に入らず、そのままエレベーターまで走る。
看護婦さんに走るなと注意されたかもしれないけどそんなことはどーでもいい。
陽向っ…
陽向、陽向っ…!
504、ここかっ!
勢いよくドアを開けると中には陽向1人以外誰もいなかった。
「陽向…」
ベッドで横になっている陽向に近づく。
包帯が巻かれた頭。
酸素マスクや点滴を付けられて…
「ひ、なた…?」
あたしのせいで…
陽向が…
「陽向っ…目ぇ開けろよっ…」
陽向に駆け寄り、手を握る。
「冗談なんて言って…ごめん…」
このまま目を開けなかったらどうしよう…
陽向っ…
「あたしも…」
ぽた、ぽた、涙が陽向の手の甲に落ちる。
「あたしも…陽向が好きだっ…」
照れ隠しであんなこと、言わなきゃよかった。
「陽向…起きろよ…
じゃないと謝ることも、告ることも出来ないじゃんかっ…」
あたしもだよって素直に言えばよかった…。
「お願い…っ」
あたしは陽向のベッドに顔をうずめた。
陽向っ…
「目を覚ましてっ…」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。