第14話

雪だるま
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2018/12/30 06:37
やったー、と言いながら凛が元いた場所に駆けていく。


「え、いーのか?」


あたしは自転車を脇に寄せて止めている陽向に言った。


「え?

あぁ、別に大丈夫。」


「でも、買い物の途中なんじゃ…」


「ちょっとぐらいいいって。

幸い、買ったの冷てぇもんばっかだしな。」


「でも…」


寒いし、風邪とかひかれたら…


「ほんとに、いーんだよ。

…それに、」


「?」


「あとであなたに温けぇコーヒー奢ってもらうから大丈夫。」


「はっ!?」


あたし今金持ってねぇー…!


「ちょっと、財布取ってくるわ…」


あたしがそう言いながら公園を出ようとすると、ぐっとフードを掴まれた。


「ぐぇっ」


おかげで変な声が出た。


ははっ、と笑って陽向が言う。


「アホかっ、冗談だわ。」


「えっ…」


「凛ー、遊ぶって何すんだー?」


あたしが固まっている中、そう言いながら陽向は凛の方に歩いて行った。


あたしもその後を追う。


なんか、とてつもなく申し訳ない。


「雪だるま!」


「雪だるま!?

それにしちゃ雪すくねぇぞ!?」


「あのねぇ、これ!

ちっちゃいの作るの!」


凛があたしの手を指す。


「あぁ、これか!

さっきから『あなたずっとなに持ってんのかなー』って思ってた。」


まぁ、今はただの雪玉だからな…


「でもこれ、顔ついてなくね?」


あたしの手から半雪だるまを取って言う。


「あーおねぇちゃんと同じこと言ってるー!

今から目探すの!

陽向くんも探してー!」


「あいよっ」


陽向はしゃがんで凛と一緒に地面を掘り始めた。


…陽向って若干クールだし、からかってくるし、子供なんて苦手そうなのに、意外と面倒みいいよな…


カシャ。


2人の遊んでいる写真を少し離れたところから撮った。


いい笑顔してんなー…


あとで凛に見せたら絶対喜ぶだろーな。


「できたな!」


「うん!出来た!

おねえーちゃん出来たよぉー!」


凛はあたしの元まで走ってきて手を掴んで引っ張った。


「わぁっ!?」


「こっちこっち!

じゃぁーん!」


花壇の縁に並べられた3つの雪だるま。


「こっちが陽向くんでー、真ん中が凛でー、これがお姉ちゃん!」


「おぉ、すげーじゃん!

え、なんかあたしの不細工!」


2人の雪だるまは大きな目と笑った口なのに、なんであたしのだけ目が小さくて太眉なんだっ!!


「それねぇ、陽向くんがやったんだよぉ」


「ちょー似てるじゃんっ」


「ふっざけんなっ!」


目が完全に笑ってんだよっ!


あたしは陽向に向かって走り出した。


そして逃げる陽向、さらにそれを追う凛。


いつの間にか追いかけっこだ。


「はっくしゅんっ」


やべ、薄着でゆきん中走り回って…風邪ひきそ。

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