第6話

女の子
909
2018/12/25 09:33
「ねぇー、待てよぉ」


2人のあとをとぼとぼついて行く。


なんでこんな寒いのにタイツなんだよ!


「ダメっ、男言葉禁止!」


「ほら、がに股で歩かないのー!」


「えー…

急にそんなの無理に決まってんだろー?」


「また出た!

だろー、はダメ!

でしょ?って言って?」


あたしがそんな言葉遣い…


違和感しかない!!


「じゃあまた部活でねっ!」


「お、う、うん…」


建築科と普通科の校舎は棟が違う。


部室からは建築科の方が近くてあたしは2人と別れて棟に入っていく。


絶対笑われる…!


あ、ラッキー。


階段を上がって教室前まで行くとドアが開いていた。


建築科の校舎は古くてドアの立て付けが悪く、開け閉めの度にすごい音が鳴る。


だから誰かが入るときは多少なりとも注目が集まる。


よし、こっそり入って何気なく席に着こ。


そーっと教室を除くと案の定、クラスメイトの1人、中山なかやま亮太りょうたと目が合ってしまった。


「あ、」


思わず声が漏れる。


「…あれ?

転校生?」


ん?


タタタッとあたしの元に駆け寄ってくる亮太。


て、転校生…?


まさか、あたし?


花園あなただってバレてないってこと!?


転校生、という言葉に反応したみんながこっちに目を向ける。


ひぃっ!


そんなに見んなよ!


「先生なら今いないよー…って、花園!?」


亮太の言葉にザワザワ、あちらこちらから聞こえてくる男子達の声。


「花園!?」


「え、別人…」


「なんか可愛くねぇ?」


かーっと体温が上がる。


「覚えとけよ、みっちゃん、遥っ…」


ボソッとこぼした独り言は周りのうるささでかき消された。


「えーあなた!

めっちゃいいじゃん!

可愛い!」


康輔が寄ってきて話しかける。


か、可愛い〜!?


「や、やりたくてやってる訳じゃねーんだよっ」


「照れるな照れるな、いやぁ、本当はさ、こーゆー女子が欲しかったわけですよ!」


…あのだから、みんなしてあたしのことディスってない?


「なんか女子なんだな、やっぱり!」


そう言って笑う康輔は私の頭をポンポンと撫でた。


「えっ…」


な、な、


いつもなら肩組んでくるのに…!


「な…んだよっ!」


バッと康輔の手を払い除ける。


ポカンとした康輔の顔。


そしてニヤッと笑って言った。


「あー、女の子の扱い受けるの慣れてないから照れた?」

プリ小説オーディオドラマ