あなたside
お互いに言葉を発しないから、
腰にまわされた手に意識が集中して
恥ずかしくなってくる。
指で頬を撫でられ、余計に顔に熱が集中する。
目なんか合わせられなくて、
ずっと逸らしたまんま。
そう言ってゆっくり腕を離す彼。
体も離されてしまって、
さっきまでの瞬間が夢のように感じる。
そう言って、お辞儀だけして、その場を離れようとする。
すると、後ろに戻される感覚。
·····へ?
え、あなた自分の言ってることの意味、
分かってますか?
何も分からない相手なんですよ?
って言いたくなる。
そりゃあ、そうだけど、。
渋々携帯を渡す
何やら、色々操作して、
あっという間に戻される携帯。
画面を見るとLINEの友達に、『彰吾』の文字が見える
名前がしれたことが嬉して。
交換できたことが嬉しくて。
それが、嘘みたいで、
夢の中にいるようで、自分の頬を抓ってみる。
ふっ、と聞こえる笑い声。
画面から顔を上げると、
顔を少し逸らして、笑ってる彰吾さん、?
ちゃんと連絡してね、あなたちゃん
って爽やかに言って、立ち上がろうとすると同時にエレベーターがポーン、となる
2人して振り返ると
エレベーターに2人で乗ってる千恵と彰吾さんといた人
どゆこと?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!