『ありがとね轟くん』
「俺が誘ったから」という理由で奢ってくれた。
轟「いや、急に誘って悪かった」
『ううん全然!楽しかったよ!』
轟「そうか」
『また轟くんのオススメの蕎麦屋行こっ!』
轟「!__あぁ。送ってく」
『えっ!?大丈夫だよ!』
轟「もう暗いし、危ない」
『んじゃあお言葉に甘えて……』
轟くんと休みの日に一緒にいるってなんか不思議な感じがする。
轟くんと他愛のない話をしながら歩いていたらコンビニを見つけた。
蕎麦のお礼に、いや、全然比にならないけど………
『轟くんここで待ってて!すぐ戻るからー!』
轟くんもコンビニに連れて行ったら
「礼なんて要らない。俺が誘っただけだ」
なんて言われそうだからそうはならないように1人でコンビニに走った。
轟side
『轟くんここで待ってて!すぐ戻るからー!』
そう言った時にはもう走り出してて、蝶羽の後ろ姿が見えた。
「どこ行ったんだ……?」
急に誘ってしまったのは俺の方なのに嫌な顔ひとつせずついてきてくれた。
蝶羽のその明るさに何回元気を貰ったのか分からない。
“ 轟くんの力には変わりないんじゃないかな? ”
“ なりたい自分になっていいんだよ ”
「っ……」
俺は今日、お母さんに会うために病院に行った。
理想のヒーローになるために_______________。
お母さんに言われた言葉を思い出して、体育祭のとき蝶羽にも似たような言葉が言われたって、重なったんだ。
仲間として……。
初めてお母さんに紹介したいと思った。
『轟くーんっ!お待たせ!』
轟「蝶羽何処に____……って、」
『コンビニ行ったらばったり会っちゃって』
轟「……緑谷?」
緑谷「えっ!?轟くん!?」
轟「あぁ」
緑谷「もしかして僕お邪魔だった!?よね!」
『いやいや大丈夫だよ、偶然会っただけだし!』
緑谷「もしかして二人は…………付き合ってるとか……いやでも、かっちゃんかと思ってたし、あのかっちゃんが彼女……?いやそれもない気がする。ってことはまさか付き合ってるとか……?」
『出久くんまぁたブツブツ言ってるよ』
緑谷「あっ、ごめん……!」
『そういえば轟くん、はい!これっ』
轟「!」
『蕎麦のお礼!……になってるか分からない。というかなってないけど……アイス!私のチョイスだから嫌いだったらごめんね!』
轟「いや大丈夫だ。ありがとう」
わざわざアイスを買ってきてくれたのか。
それにしても緑谷ならコンビニの中で別れそうだが、一緒に来た……?
もしかして蝶羽が連れて来たのかもしれない。
でも緑谷のことだから、
轟「んじゃあ俺はここで」
『えっ、あ、うん』
緑谷「………」
轟「アイスありがとな」
『こちらこそ今日はありがとう!また行こうねっ!』
轟「あぁ。またな」
『うん!またね』
蝶羽に話があるんだろ_______________。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!