第42話

センチメンタル
2,627
2021/02/08 06:26
「……蝶羽?」










『っ……』
























『轟くん……』



轟「!…なんで泣いてるんだ」



『あはっ、私極度の花粉症でさぁ……!』



轟「……そうか」








納得するんだ。








『轟くんは何してるの?』



轟「母さんのお見舞いに行ってきたところだ」



『お母さん入院してるの?』



轟「あぁ……」






どこか少し寂しそうな表情が一瞬見えた。

でもまたすぐにいつもの冷静な顔つきに戻ってこっちを見た。








轟「蝶羽、今から暇か」



『え?』

























轟「いただきます」



『い、いただきます……』








暇かって聞いたのはそういうことかぁ……。

蕎麦屋に連れてこられるとは、

轟くんは本当に読めない。








『轟くん美味しそうに食べるね。蕎麦好きなの?』



轟「あぁ好きだ」



『ぅえっ……//』








なんか告白された気分←全然違う








轟「蕎麦嫌いだったか……?」



『えっ!?全然!嫌いじゃないよ!』



轟「ならいいんだが。ずっと食べないから嫌いなのかなって思って……」



『ううん。いただきますっ!…………ん、!?美味しい!』



轟「ここの蕎麦オススメだ」



『あっ、そうなんだ』








「ここの」ってことはお店巡りみたいなしてるのかな。

本当に蕎麦好きなんだな。

普段食べないから久しぶりに食べた気がする。








轟「何か悩みがあるのか」



『え……?』



轟「勘違いだったらわりぃ……」



『いや、』










あの轟くんに花粉症なんて嘘はもってのほか

全然通用してなかった。









『体育祭も終わって、目標だった表彰台にも乗れて、オールマイトからも有難い言葉をもらったのに報告できなくて……少し寂しくて。』



轟「そうだったのか。」



『でも轟くんとこうやって今、蕎麦食べることも出来てるし、話まで聞いてもらって満足だよっ!』



轟「!……それなら良かった」



『轟くんのお母さんは今入院してるの?』



轟「あぁ。久しぶりにお見舞い行ってきた」










久しぶり……? ってなんだろ。

まぁ体育祭で忙しかったし、ってことかな。









『会えて良かったね』



轟「……あぁ、そうだな」



『?』










エンデヴァーの話をしてた時の目とは裏腹にどこか悲しげな目で……私も知っているようなその切なさに胸を締め付けた。

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