第188話

ダプシェ侯爵家の“隠された吸血鬼”
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2023/01/07 13:00



・〜クロエ〜・











ネーニア:
【…いいの?】

【ノエとあの子を二人にさせておいて】







クロエ:
〔ええ…折角の機会だもの〕

〔ジャン=ジャックにも友人の一人や二人いた方がいいわ〕





ネーニア:
【ふぅん…?】




【私は】

【自分のモノに誰かが勝手に触るの】


【ゼッタイ嫌だけどなぁ】





【クロエはおとななんだねっ】









クロエ:
〔うふふ…そんなことないわ〕





〔こう見えて私〕


〔すごく嫉妬深い女なのよ…?〕










そう、この黒い影に告げ 自動人形あの子達を見据える。









クロエ:
〔さぁ みんな…待たせたわね〕




〔ようやく時が満ちたわ〕







〔このジェヴォーダンの地に〕


〔私達の復讐の音楽を響かせてやりましょう……?〕










クロエの父:
〚いいか クロエ〛


〚私の許可無くこの城の外に出てはいけないよ〛







クロエ:
〚はい…〛







クロエの父:
〚クロエ〛

〚外に出る時は必ず従者を付けフードで顔を隠すこと〛





クロエ:
〚はい…〛






クロエの父:
〚おまえがヴァンピールであることは決して外の人間に知られてはならないんだ〛






クロエ:
〚はい…〛

〚お父様…〛













──私がヴァンピールとして目覚めた・・・・のは4つの頃







──16世紀も後半 “混沌バベル”が残した傷跡もようやく薄れ始めた


──そんな時だったという







──あの時代には「そういうこと」がよくあった





──“バベル”を生き延びた者が知らぬ間にその存在を書き換え・・・・られて・・・いたり・・・



──人間ひとの間に生まれた子が歩くことを覚えるのと同じように


──ある日突然両の眼を紅く染めるのだ







──恐らくは 

──“バベル”のせいで世界式そのものが不安定な状態となり

──その影響がこちら側にも現れたのではないかと思う










クロエの父:
〚大丈夫……大丈夫だクロエ〛



〚私がおまえを救ってやる〛


〚必ずおまえを…人間に戻してやるからな……!〛







クロエ:
〚はい………お父様〛







──11を過ぎた頃 この体は成長を止めた






──クロエ・ダプシェは表向きには病死したことにされ


──私はダプシェ侯爵家の“隠されたヴァンピール”になった




──父は“バベル”を引き起こしたとされるパラケルススの情報をかき集め


──名だたる魔術師・錬金術師を山の奥深くの城に集め 世界式の研究を始めた














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クロエの父:
〚大丈夫だ クロエ……〛





〚おまえを………〛

〚人間…に───…〛









クロエ:
〚はい……お父様…〛










お父様はそのまま息を引き取った。
















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