・〜あなた〜・
無言のままただひたすらに歩みを進めていくとダンテが口を開いた。
ダンテ:
〔なぁ……あなた〕
あなた:
〔え、なに?〕
ダンテ:
〔お前…シャスールのガキとはどういう関係なんだ?〕
あなた:
〔ただの“元”友達〕
何を聞いてくるのかと思いきや…
神妙に聞いてくるものだから変に身構えてしまった
あなた:
〔なんでそんなこと聞くの?〕
ヴァニタス:
〔そんなの、あの歴代最年少パラディンのネタを掴みたいからに決まっているだろう〕
〔どうしてあのガキがあなたにご執着なのか真相を知りたいんだろう〕
あなた:
〔そんな全く持って意味のないネタを掴んでどうするつもり?〕
ダンテ:
〔いいだろべつに!〕
〔それより…ただの元友達があんな風にお前を押し倒して迫るようなことするはずないだろ!〕
あなた:
〔……アストルフォは…〕
〔正式な契約は交わしてないけど口約束だけの元婚約者〕
〔というか……いいなずけ…?〕
ヴァニタス:
〔………〕
〔フッ……あのチビは幼い時のただの口約束を健気に信じてきた間抜けなのか〕
あなた:
〔可哀想だからそんな風に言うのはやめよ?〕
ダンテ:
〔そういや、お前って元貴族なんだっけか〕
あなた:
〔………〕
〔富裕層に一時的にいただけ〕
〔血こそ引いていても私とフランソワはもう縁のない間柄なの!!〕
〔だから…あの頃の思い出なんて忘れたかったのに〕
ジャンヌ:
(あなたちゃんも……色々あるのね…)
ダンテ:
〔まあつまり、アストルフォはまだあなたが好きってことなんだな?〕
ヴァニタス:
〔あなたはあのチビのことなんて全く興味ないがな〕
ダンテ:
〔なんでお前がそれを言うんだよ〕
〔んなこたぁ分かってんだよ あなたがアストルフォを恋愛対象として見てないことぐらい〕
あなた:
〔いや、別に恋愛対象じゃないわけじゃ……〕
やんわりと否定しようとするとヴァニタスが私の言葉を遮る。
ヴァニタス:
〔じゃあお前はアストルフォのことが好きなのか?あいつが?本気か?あんな女みたいな顔してる奴がいいのかお前〕
あなた:
〔いや…いやいや待って……!なんでそう捉えるの!?〕
ヴァニタス:
〔そうとしか捉えられない〕
〔お前の話を聞いているとアストルフォが好きなんだと思うだろう!〕
〔もっとも、オレはあんな奴良いとは思わないし…あんないかにも高慢で短気なやつお前に相応しくないというか…〕
ダンテ:
〔おやおや〜〕
〔なんだか焦ってないかぁ?ヤb──〕
ヴァニタス:
〈焦ってない!!!〉
ヨハン:
〔んもう〜〕
〔このメンバーで恋バナなんて奇怪すぎるわぁ〕
あなた:
〔恋バナですか?これ……〕
〔まぁ、何はともあれ私はもうアストルフォに恋愛感情は持ち合わせていないし、向こうも………時間が経てば忘れると思う〕
ぶっちゃけ、根に持たれる確率の方が高そうだけど
というか、数年間私のことを健気に思い続けているような人だから今更忘れてくれるとも思えない……
あなた:
〔はぁ…………〕
先が思いやられる……
ヨハン:
〔モテる女は大変ねぇ〕
あなた:
〔いや……まぁ嬉しいんですがね…………あはは〕
でも、アストルフォともちゃんとケリをつけないといけない。
そのためにも、まずはノエを助けてヴァニタスの書を取り返して………
ジェヴォーダンの獣についても解決しないと…!
あなた:
〔よぉーし…頑張るぞ!!!〕
ヴァニタス:
〔ビクッ………急になんだ…大声出して〕
ダンテ:
〔執着されるのに疲れてクレイジーになったとか〕
ジャンヌ:
〔あなたちゃん苦労してるのね……休ませてあげたい〕
ヨハン:
〔皆、大袈裟よ……〕
あなた:
〔ヨハンさんの言う通りですよ。まったく……〕
〔それにしても、ノエ……大丈夫かなぁ………〕
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。