差出人:九条ひまり
宛先:神山あなた
件名:Re:届いてませんよね
本文:
あの、届いてませんよね。
突然すみません。
わかっているんです、
このメールを先輩が読んでいないことは。
これはあくまで、わたし自身の
気持ちを整理するために打ち込む文章なわけです。
先輩に話すみたいに書いているせいで、なんだかちょっと虚しいのですが、
これじゃないと気持ちの整理がつかない気がします。
先輩には、言いたいことがたくさんありました。
その大半、というよりか、ほとんどは伝えきれなかったのですが。
気持ちの整理をつけるために、とりあえず一部でも、ここに書いておきます。
先輩は、わたしの憧れでした。
一瞬、息がつまった。
どうして––––––。
メールはまだまだ続いている。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!