第8話

第8話
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2018/03/14 09:36
あなた

あの写真……!

それは、机の上に飾られた、文化祭での公演のあとの写真だった。


フルートパート全員で撮った、集合写真。
ひまりちゃんと並んで、
あなた

笑ってる……

わたしといるときに、あの子が笑っているところなんて、そんなに見たことなかったのに。
あなた

何があったっけ、あのとき…

思い出すんだ。思い出すんだ、自分––––––。
あなた

文化祭、曲、ひまりちゃん……

……………––––––––。
あなた

あっ!

そうだ。
文化祭の曲に、ひまりちゃんとのSoliがあった。

最初は全然息が合わなくて、でもひまりちゃんと何度も練習して、

バラバラだったけど、合ってきたんだ。
そうだ、あのとき。
『最高だったね!』
『ありがとうございます、先輩……!』
あなた

わたし、

悪いところにしか、目を向けてなかった。
ひまりちゃんとの楽しい思い出も、
笑ったこともたくさんあったのに。

思い込みだけで、ひまりちゃんのことを考えてたんだ。
わたしの頭の中を、言葉が駆け巡っていく。
『たくさん練習しよ!』
『ありがとうございます、先輩……!』
『ひまりちゃん?あの子はどうせ––––––』
『バラバラでも大丈夫だよ!がんばろ!』
『あなた先輩がわたしの先輩で、幸せでした』
『最高だったね!』
『わたしの宝物です』
『3年間、ありがとうございました』
あなた

…………………



バラバラだったけど、合ってきたんだ。

もう一度、やり直せるかな。
バラバラだけど、もう一度合わせられるのかな。

ううん、合わせたい。
合わせられることを、信じたい。



写真をポケットに入れて、走り出す。

まだ、練習しているはず。
行かないと、学校に……。


早くひまりちゃんと話したい。


あのメールを送ってくれてありがとう。
あのおかげで、あの偶然のおかげで、
大切なものに気づけたんだよ。
ねぇ、ひまりちゃん、あのね……。


伝えたいことが、たくさんあるんだよ。








中学卒業のこの日、
わたしは新しく出発します––––––。