卒業式が、終わった。
クラスメイトと話していると、
後ろから呼びかける声がして
わたしは振り返った。
駆け寄ってきた後輩ふたりを、わたしはぎゅっと抱きしめた––––––。
わたし、神山あなた。
吹奏楽部、フルートパート3年。
今は引退しているけど、
受験が終わってからは
部活にも時々遊びに行っていた。
部活での時間は、わたしの中学3年間の思い出の多くを占めている。
何だかしんみりしてしまったわたしを、再び2人の声が引き戻した。
やっぱり、癒されるなぁ。
渚ちゃんと陽奈ちゃんに限らず、
部活の仲間たちは、
優しくておもしろい。
そんな最高の仲間に囲まれて、
この3年間はすごく楽しかった。
––––––後悔がないと言えば、嘘になるけど。
浮かんだものを打ち消すように、
わたしは校舎へ走り出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。