前の話
一覧へ
次の話

第1話

第1話
419
2018/03/13 21:49
陽奈
あなた先輩!
あなたせんぱーい!
あなた

渚ちゃん、陽奈ちゃん……
ありがとー!!!

卒業式が、終わった。


クラスメイトと話していると、
後ろから呼びかける声がして
わたしは振り返った。
陽奈
卒業おめでとうございます!
あの…、今までありがとうこざいました!
駆け寄ってきた後輩ふたりを、わたしはぎゅっと抱きしめた––––––。


わたし、神山あなた。


吹奏楽部、フルートパート3年。
今は引退しているけど、
受験が終わってからは
部活にも時々遊びに行っていた。

部活での時間は、わたしの中学3年間の思い出の多くを占めている。

卒業式も終わりましたし、
部活のお別れ会、いきましょう!
あなた

そっか……お別れかぁ…

何だかしんみりしてしまったわたしを、再び2人の声が引き戻した。
陽奈
ちょ、ちょっと先輩!
泣きそうになるんでやめてくださいって……
陽奈はすぐ泣くもんねぇ〜
彼氏とのデートで映画見て、
ガチ泣きしちゃってドン引きされたって聞いたよ〜?
陽奈
ドン引きはされてないから!
泣いたことは認めるんだ〜?
陽奈
ち、ちがう!!!
あなた

……ぷぷっっっ…

陽奈
せ、先輩まで…
あなた

ふふ、ごめんごめん

ほら、早くいかないとだよ!
第1回会議室だっけ?

あっ、そうでした!
じゃあ走っていきましょ!
陽奈
渚ぁぁ待ってぇぇぇ!!!


やっぱり、癒されるなぁ。


渚ちゃんと陽奈ちゃんに限らず、
部活の仲間たちは、
優しくておもしろい。

そんな最高の仲間に囲まれて、
この3年間はすごく楽しかった。






––––––後悔がないと言えば、嘘になるけど。





浮かんだものを打ち消すように、
わたしは校舎へ走り出した。