第50話

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2023/03/14 22:00
く、口付け……?!?!!

私はこれから先彼らとキスをする用事が出来たってこと?!
待って待って。心の準備が…… 心の準備が!!!


…あの時、もし志麻くんが私にキスをしていたらあんな痛みはなかったのか………。

いやいや、どっちにしても嫌だけど!!


みんなはもちろんこの事を知ってるんだよね……?


そのつもりで私に接してきてたの〜?!
もう、恥ずかしくて死にそう……

勢いよく本を投げ捨ててしまったが、顔に集まった熱は引かない。
むしろ考えれば考えるほど、熱くなる。


その場で丸くなりじたばたと暴れる。
うわ〜〜!!こんなことしなきゃいけないなって思わなかったのに〜!!!


顔を両手で押さえて、うずくまって悶々とする。


💚「お、お嬢様…?」


「え?!」


💚「…どうかなさいましたか?」


「い、いやえっと… てか!いつから居たの!」


💚「お嬢様の部屋から大きな物音がしたので今駆けつけましたんですが… ノックしても返事がないので勝手に入ってしまいました」


「そ、そうだったんだ……」


💚「それで、何かございましたか?顔も真っ赤です。どこか痛みますか?」


心配そうに私に寄るうらたくん。意識してしまうからあまり顔を近づけてこないで欲しい!!


「い、いやその、さっきその本を読んでたら… 吸血する時ってその…… き、キ…」


💚「キ?」


「き、キス!!をしなきゃいけないって…」


私が勢いに任せてそう言い切ると、絶妙に気まずい沈黙が訪れた。

恥ずかしさでここから消えたい私は、おずおずとうらたくんに助けを求めるように顔を上げた。


💚「……ふっ」


「え?」

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