「……第一、元の世界に戻りたいなんて思ってないよ。ここに残るって決めた時から後悔なんてない。」
💛「……俺達ができる最善ってじゃあなんなんやろ。」
「え?」
そっと呟いやセンラくん。声は震えていて、不安を帯びた悲しい声がした。
💛「……どうすれば俺たちは、あなたちゃんを辛い思いさせないでいられるだろう。」
「……みんなが私を殺す前に。…みんなが殺し合いを始める前にみんなのこと人間にさせる。」
💛「無理やって」
「無理じゃない!……私は絶対できるって思ってるから。本気なの。みんなが私の学校生活を楽しくさせてくれたお礼。今度は私がみんななことを救う番なの。守られてるばっかりじゃないから。……安心して?私はもう十分みんなに助けてもらった、色んな最善をしてもらった。」
センラくんの目をじっと見つめる。吸い込まれてしまいそうなほど美しいシトロンは、うるうると濡れている。
💛「……ずっと心の中で諦めてた。」
「………」
💛「…あなたちゃんは優しい。それでいてあなたちゃんの言葉に嘘はない。だからずっと信じてる。今もきっとこの先も。……でも本気ですきなのに俺は心のどっかで、あなたちゃんと契約を結べるのは俺以外の誰かだと思ってた。
きっと俺が1番普通の恋愛をすることに執着してた。だから自分が吸血鬼ってことか許せなくて、本気にならない言い訳にしてた。
でも、俺もほかの3人みたいに普通の人間と思い込んで仕方ない、バカな"人"になってもええんかな。」
「…私の中では初めから、…みんなが吸血鬼だって知った時からずーっとひとりの人間としてみんなのことを見てたよ。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。