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第60話

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2023/03/31 08:19
「……第一、元の世界に戻りたいなんて思ってないよ。ここに残るって決めた時から後悔なんてない。」


💛「……俺達ができる最善ってじゃあなんなんやろ。」


「え?」


そっと呟いやセンラくん。声は震えていて、不安を帯びた悲しい声がした。


💛「……どうすれば俺たちは、あなたちゃんを辛い思いさせないでいられるだろう。」


「……みんなが私を殺す前に。…みんなが殺し合いを始める前にみんなのこと人間にさせる。」


💛「無理やって」


「無理じゃない!……私は絶対できるって思ってるから。本気なの。みんなが私の学校生活を楽しくさせてくれたお礼。今度は私がみんななことを救う番なの。守られてるばっかりじゃないから。……安心して?私はもう十分みんなに助けてもらった、色んな最善をしてもらった。」


センラくんの目をじっと見つめる。吸い込まれてしまいそうなほど美しいシトロンは、うるうると濡れている。


💛「……ずっと心の中で諦めてた。」


「………」


💛「…あなたちゃんは優しい。それでいてあなたちゃんの言葉に嘘はない。だからずっと信じてる。今もきっとこの先も。……でも本気ですきなのに俺は心のどっかで、あなたちゃんと契約を結べるのは俺以外の誰かだと思ってた。

きっと俺が1番普通の恋愛をすることに執着してた。だから自分が吸血鬼ってことか許せなくて、本気にならない言い訳にしてた。

でも、俺もほかの3人みたいに普通の人間と思い込んで仕方ない、バカな"人"になってもええんかな。」


「…私の中では初めから、…みんなが吸血鬼だって知った時からずーっとひとりの人間としてみんなのことを見てたよ。」

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