前の話
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今日は、まふまふの家で撮影。
いつものように、まったり
行く準備をしながらまふまふとメール。
「早く来て下さいよ」
「わーってるって、まってろ」
やり取りをしながら、玄関のドアを開ける。
タクシーを呼んで、車の中で
今日の内容についてのメール。
ふと窓の外を見た時、人影が見えた。
特になんということもない座った人影だったが、
何故か惹かれた。
今思うと運命だったのかもしれない。
タクシーの運転手さんは、
戸惑いながらも止まってくれた。
人影を見る。まだ女の子、という感じ。
白髪なのが、違和感だろう。
よく見ると、座っているというよりかは
へたれこんでいる、という方が正しい気がする。
力なく座っている彼女。
気づくと、そう聞いていた。
そう答える彼女だが、明らかに大丈夫ではない。
今考えると不審者だ。
未成年と考えると、誘拐にも思える。
危ないことをしていたんだな。
こくっと頷く彼女。
不審者だとは思わないでくれていたらしい。
それはそれでおかしな点だ。
普通は学校などで習うはずだからな。
女の子を連れてタクシーへ乗る。
まふまふの家の近くで降りる。
静かに聞いた。
タクシーの中で食べ物をあげたからか、
それとも心なしか。
少し回復しているようにも見えた。
まふまふの家のドアを開ける。
まふまふの声をかき消すように、
俺が女の子を支えて歩く。
かなり衰弱している。
意外にもまふは、テキパキ動いてくれた。
事情を説明したら、男物の服を貸してくれた。
呼びづらいと思い、聞いてみた。
帰ってきたのは、誰も想像しないであろう言葉。
びっくりした。
それを悟られないように話した。
あっちも驚いた様子だった。
その言葉は初めて、
はるなが強く意思を表した言葉だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!