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第4話

また会おう
46
2023/02/16 23:34
ミヒャエル・カイザー
ミヒャエル・カイザー
äh! Uta Saku!
【おい!詠・溯!】
 練習が終わった後,いつも通り2人で病院に戻ろうとしたとき,ミヒャが大声で呼び止めた。アレクも走ってきた。
東雲 詠
東雲 詠
Was ist los, Mihya Alek
【どうしたの,ミヒャ・アレク?】
ミヒャエル・カイザー
ミヒャエル・カイザー
Du... Was meinst du damit, nach Japan zurückzukehren!?
【お前…日本に戻るってどう言う事だよ⁉︎】
 『あれ,もう知ってたんだ。』と言うように,詠は2人を見つめ返す。
アレクシス・ネス
アレクシス・ネス
Könnte es sein, dass du es versteckt hast?
【もしかして,隠してたんですか?】
東雲 溯
東雲 溯
NEIN. Ich wollte es dir morgen sagen. Ich dachte nicht, dass du es schon wüsstest.
【いや。明日には言うつもりだったんだ。まさか,もう知っていたとは思わなかったけれど。】
 それでも尚,2人は納得してくれない。
ミヒャエル・カイザー
ミヒャエル・カイザー
Fußball in Deutschland,Weil es dir nicht gefällt?
【ドイツでのサッカー,嫌になったから?】
 ドイツでのサッカーが嫌に?そんな事は絶対,
東雲 詠
東雲 詠
Auf keinen Fall. Deutschland hat sowohl Mhya als auch Alec. Noah ist auch dabei. …Ich kann dich nicht hassen.
【あり得ないよ。ドイツにはミヒャもアレクもいる。ノアさんだっている。…嫌いになれるはずがないよ。】
アレクシス・ネス
アレクシス・ネス
Warum also?
【なら,どうしてですか?】
 そう聞かれ,私はあの手紙を思い出した。
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ハンナ・アドルフ
ハンナ・アドルフ
Ein Brief für Saku und Uta ist angekommen.
【溯さん,詠さん宛に手紙が届いてますよ。】
東雲 溯
東雲 溯
Brief?
【手紙?】
東雲 詠
東雲 詠
Huh, das ist ein Brief von Vater und Mutter.
【え?これ父様と母様直筆の手紙だよ。】
 封筒を開いてみると,やはり両親の文字だった。
東雲 溯
東雲 溯
《親愛なる溯と詠へ》
東雲 詠
東雲 詠
《症状が緩和してきた事と思います。お別れしてから長いことたちますね。》
東雲 溯
東雲 溯
《ドイツでの6年に渡る長い療養をお過ごしでしょう。》
東雲 詠
東雲 詠
《しかし,療養仕立ての頃とさほど変化はないと聞きます。》
東雲 溯
東雲 溯
《最近になって日本では, 気管支喘息患者の更なる回復の為のシステムが導入されました。》
東雲 詠
東雲 詠
《今週末にプライベートジェットを使い,日本に帰国してください。》
東雲 溯
東雲 溯
《尚,帰国後はそのまま日本に滞在してもらう予定ですので,お世話になった方々にお別れを告げてください。》
東雲 詠
東雲 詠
《近々2人に再会できる事を楽しみにしています。》
東雲 溯
東雲 溯
《愛を込めて,東雲 碧海
       東雲 麗奈》
 雷が落ちた様な心地がした。
東雲 詠
東雲 詠
で,でも!…私,皆とお別れしたくない。断る事って__
東雲 溯
東雲 溯
《追伸 尚,日本に帰国・移住の件は提案ではなく,当主としての命令です。》
東雲 溯
東雲 溯
____だそうだ
東雲 詠
東雲 詠
命令か
 でも…確かに,症状が良くなったら,サッカーをもっと楽しめる。
東雲 溯
東雲 溯
決めたか,詠?
東雲 詠
東雲 詠
決めたよ,溯
 やっぱり双子。考えてる事も一緒。
 君ともっと,楽しみたい。
東雲 詠
東雲 詠
私は______
東雲 溯
東雲 溯
俺は______
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東雲 溯
東雲 溯
Sag ich doch.
【と,言う事だ。】
 一通り説明し終えると,2人共黙り込んだ。
ミヒャエル・カイザー
ミヒャエル・カイザー
Leiter von Shinonome Zaibatsu…
【東雲財閥当主の…】
アレクシス・ネス
アレクシス・ネス
Befehl.
【命令。】
 でも2人はまだ少し納得出来てなさそう。
東雲 詠
東雲 詠
Beide. Wir haben uns nicht entschieden, nach Hause zurückzukehren, nur weil das Familienoberhaupt es angeordnet hat.
【2人共,私達は当主の命令だから帰国を決めた訳じゃないよ。】
 『え?』と,2人は私の顔を見た。
東雲 詠
東雲 詠
Wir wollen unsere Krankheit noch ein wenig verbessern und wieder zusammen Fußball spielen. Weil ich das dachte.
【私達は,病気を少しでも改善させてまた2人でサッカーをしたい。そう思ったからだよ。】
東雲 溯
東雲 溯
Sobald Uta sich von ihrer Krankheit erholt hat, will sie wieder Fußball spielen. deshalb…
【詠の病気が回復次第,またサッカーに励むつもりだ。だから…】
東雲 詠
東雲 詠
Ich werde nicht warten, also versuchen Sie, aufzuholen,Mitstreiter!
【待つつもりはないからせいぜい追い抜いてみろ,戦友!】
東雲 溯
東雲 溯
Ich werde nicht warten, also versuchen Sie, aufzuholen,Mitstreiter!
【待つつもりはないからせいぜい追い抜いてみろ,戦友!】
 そう2人で,これから世界に上り詰めていくであろう“戦友”に宣戦布告をした。
小鳥遊 八雲
小鳥遊 八雲
お帰りなさいませ。溯様・詠様
東雲 詠
東雲 詠
久しぶり,八雲!
東雲 溯
東雲 溯
このまま邸宅に戻るのか?
 ここは日本の羽田空港。プライベートジェット戻ってきた。
小鳥遊 八雲
小鳥遊 八雲
えぇ,当主様御夫妻がお待ちです
 そう言うと八雲は,黒塗りのリムジンの扉を開けた。
東雲 詠
東雲 詠
わぁ,これに乗るの久しぶりね!
東雲 溯
東雲 溯
あぁ。相変わらず眠たくなるような…
東雲 詠
東雲 詠
もう,寝ないでよ?溯
 そこからどれくらい経っただろうか。
小鳥遊 八雲
小鳥遊 八雲
到着しました。どうですか?久しぶりの我が家は
東雲 詠
東雲 詠
……相変わらずの豪華さね
東雲 溯
東雲 溯
この邸宅だけにどれくらいかけたのだろうか?
小鳥遊 八雲
小鳥遊 八雲
気にしたら負けです。…御二人のためだけに建てられた,御二人専用の邸宅(部屋)です。
 そう,この邸宅…2人の“部屋”なのである。一般家庭で言う,子供部屋一室。
 そんな会話をしている内に,邸宅の門が開いた。
メイド達
メイド達
お帰りなさいませ。御坊ちゃま・御嬢様
東雲 詠
東雲 詠
ただいま!
東雲 溯
東雲 溯
ただいま
 荷物をメイド達に預け,私と溯は客間へと向かった。
東雲 麗奈
東雲 麗奈
キャーーーーーー!!!!!
東雲 詠
東雲 詠
⁉︎
東雲 溯
東雲 溯
⁉︎
小鳥遊 八雲
小鳥遊 八雲
⁉︎
メイド達
メイド達
⁉︎
 黄色い悲鳴が邸宅に響き渡った。

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