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第20話

こじれた初恋⑯
その日の夜。


あなたはつきっきりで廉の看病をすることにした。

廉の火傷は思ったよりも重症で、左手には包帯がぐるぐると巻かれている。

しかも元々風邪をひいていたため、自宅に戻った後はずっと寝込んだままだ。

あなたは私のせいだと、自分を責めた。
春名あなた
春名あなた
風邪ひいてたの、気づかなかった・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
もう帰れ・・・・・・うつるぞ
春名あなた
春名あなた
・・・・・・・・・
廉にうっとうしがれて、あなたは悲しくなる。
けれど、ここで「はい、そうですか」と、大人しく帰るわけにはいかない。
冷たく濡らしたタオルを廉の額に置き、必死に話しかける。
春名あなた
春名あなた
お、お母さんたちには連絡したの?
永瀬廉
永瀬廉
またどっちも出張
春名あなた
春名あなた
じゃあ私・・・・・・帰らない!
あなた初恋ブンブンとかぶりを振り、廉の命令を拒否した。
廉の両親初恋どちらも仕事が忙しくて、しょうちゅう家を留守にしている。
今あなたが家に帰ってしまったら、病気の廉は一人ぼっちだ。
永瀬廉
永瀬廉
いーから帰れ。 いるとよけー疲れんねん
春名あなた
春名あなた
そ、そうだ・・・・・・なにか食べるもの・・・・・・っ
廉本人にうっとうしがられても、あなたは廉のために何かしたかった。
その始めに食事の用意をしようと、台所に逃げ込む。
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・また熱上がんだろ
そんなあなたの姿を見て、廉はフッと苦笑する。
本当はあなたがそばにいてくれて嬉しい。
でもその想いを上手く伝えられないのも、いつものことだ。




━━━━15分後。

あなたは廉のためにおかゆを作って部屋に戻ってきた。

ミックスベジタブルを一緒に煮込んだおかゆは彩りもよくおいしそうだ。
春名あなた
春名あなた
・・・おかゆ・・・作ってみたんだけど・・・
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・まずそ
ちなみに廉の「まずそう」は、本当は「おいしそう」の意味である。
廉は火傷した左手でぎこちなくスプーンを握り、おかゆを口の中放り込む。
永瀬廉
永瀬廉
ガチまず・・・
味に期待をいだいていた廉は、盛大に裏切られた。
春名あなた
春名あなた
ご、ごめ・・・
永瀬廉
永瀬廉
ごっそーさん
春名あなた
春名あなた
・・・お、お粗末様でした・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
本当にな
春名あなた
春名あなた
・・・・・・・・・
ガチまずと言いながら、結局廉はお米一粒も残さず、おかゆを完食した。
廉のこういうところが、あなたは好きなのだ。
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・もーいいからまじ帰れ。・・・・・・次起きた時、
視界にいたら、 ただじゃおかねー
だからいつもは大人しく言うことを聞くあなたも、今日ばかりは廉の部屋に居座った。
春名あなた
春名あなた
か、帰らないよ・・・っ。だ、だって・・・・・・廉くん・・・・・・
すごい熱あったのに・・・・・・無理して早退しないでくれたんでしょ?
廉くんは・・・・・・昔からそういう人だもん・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・どーかな
廉はベッドの上で寝返りを打って、あなたに背を向けた。
ずっと昔、まだ二人が子供だった頃、今日とそっくり同じようなことがあった。

廉が風邪をひいて寝込んで、あなたが看病してくれたのだ。

あの時も廉はあなたに風邪がうつってしまわないようにと、
わざと冷たい態度を取った。







永瀬廉
永瀬廉
『 げほっ、ごほっ。かえれよっ』
春名あなた
春名あなた
か、帰らないよ・・・っ
廉を心配するあなたは、帰るの嫌でベッドの下に隠れた。
永瀬廉
永瀬廉
見えてんだよ、バーカっ
廉がベッドの下を覗き込むと、あなたは困ったように冷や汗をかいていて。
あの時も本当は憎まれ口を叩きながら、あなたがそばに
いてくれることが嬉しかったのだ。





永瀬廉
永瀬廉
あなた・・・・・・?
ふと、廉は浅い眠りから目を覚ました。
おかゆを食べた後、いつの間にかねむってしまったみたいだ。
ベッドから起き上がって、周りを見ると部屋の中には誰もいない。
もしかして・・・・・・とベッドの下を覗き込むが、
小学生の時のようにあなたは隠れてはいなかった。
永瀬廉
永瀬廉
心)何だ、本当に帰っちまったのか・・・・・・
帰れと言ったのは自分なのに、あなたがいないというだけで 
廉は寂しくなってしまう。

もうあの頃のように小さな子供じゃないのに。
春名あなた
春名あなた
・・・・・・廉くん?
永瀬廉
永瀬廉
だけどあなたは帰ったわけじゃなかった。
もう一度タオルを冷たく濡らして、廉の部屋に戻ってくる。
春名あなた
春名あなた
ま、まだ寝てたほうが・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・いたのかよ
春名あなた
春名あなた
ご、ごめん・・・・・・これ・・・・・・
あなたはもう一度濡れタオルを置き直した。
火照った体には、ひんやりとした感触が心地よい。
永瀬廉
永瀬廉
ほんま風邪うつってもしらねーからな
春名あなた
春名あなた
大丈夫・・・・・・
あなたは火傷した廉の左手をそっと握り、熱い視線を送ってくる。
春名あなた
春名あなた
廉くんの風邪なら・・・・・・うつってもいい・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・・・・!
いじらしいあなたの発言に廉は感動した!
やっぱりあなたは廉にとって世界でただ一人の天使!
しかもなんだかさっきから、二人の間にはラブラブな空気が流れている。
永瀬廉
永瀬廉
あなた・・・・・・♡
春名あなた
春名あなた
廉くん・・・・・・♡
自然と二人の唇は、少しずつ近ずいていった。
あなたとのファーストキスの時がとうとうやってきた!と、
廉の胸はドキドキと高鳴る。































































だけどこれも当然、全部廉の妄想で━━━。
春名あなた
春名あなた
廉くん、冷やさなくちゃいけないのは口じゃなくて、おでこだよ
永瀬廉
永瀬廉
心)━━━ハッ!
気づけば廉はあなたではなく濡れタオルにはキスしていた。

廉がラブラブな妄想にひたっていたなんて知らないあなたは、
必死にタオルを元の位置に戻そうとする。
永瀬廉
永瀬廉
な、なんやねん・・・・・・
動揺した廉は慌ててあなたから視線を逸らした。

結局またいつものように、あなたの前でカッコ悪いところを見せてしまった。

自分のこの妄想癖は、一体どうすれば治るのか。
永瀬廉
永瀬廉
心)そうやんなー。そんなうまいことありえないねんなー。
俺ってマジでバカ・・・・・・
一人落ち込む廉だったが、あなたはあなたで頬を真っ赤に染めて、
廉を熱く見つめている。
春名あなた
春名あなた
廉くん、私・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
ん?
春名あなた
春名あなた
廉くんの風邪なら・・・・・・う、うつってもいい・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・・・・っ!
あなたが口にしたのは、なんと━━━廉が妄想したのと同じセリフだった! 

そのいじらしい態度と表情。あなたがそこまで自分を想ってくれていることが
嬉しくて、廉の心はキュンッと切なくなる。
永瀬廉
永瀬廉
心)やべぇ・・・・・・マジ好きや。こいつのこと・・・・・・。
くぅーーーーっ!!
あなたに悟られぬように、一人で心の中で悶絶する廉。
そんな廉を心配して、健気に看病し続けるあなた。




廉はあなたを好きで、あなたは廉を好きなのに、
その気持ちだけが伝わらない。

こじれにこじれすぎた二人の初恋。

その恋は今、複雑な迷路の中に迷い込んでいた。
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