第31話

彼女 (仮) ②
1,025
2019/10/24 10:20
昼休み。あなたは廉に指定された体育館裏にやってきた。

すると曲がり角の向こうに、廉と知らない女子が一緒にいるのが見える。

いけない事だと知りつつも、あなたは物陰に隠れて、二人の会話を盗み聞いた。
女子生徒①
私、永瀬くんのことが好きで、出来れば付き合ってほしいなって・・・・・・
春名(なまえ)
春名あなた
心)れ、廉くん告白されてる・・・・・・!
あなたは衝撃的な場面を目撃し、ゴクリと息を飲んだ。

廉が一体どんな返事をするのかとハラハラする。
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・ゴメン・・・・・・俺、付き合ってるヤツいて
女子生徒①
・・・・・・だよねー。永瀬くんに彼女いるわけないよねー・・・
春名(なまえ)
春名あなた
心)ウソ・・・・・・・・・!
廉に彼女がいるなんて、あなたは聞いたことがない。

もしかして自分の知らないうちに、誰かと付き合い初めてしまったの?・・・と悲しくなる。

だけどあなたの驚きは、まだそこで終わりではなかった。
女子生徒①
まぁ、80パーくらいダメかなって諦めてたから・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
ごめん
女子生徒①
ちなみに彼女って・・・・・・誰?







・・・




































永瀬廉
永瀬廉
春名あなた
春名(なまえ)
春名あなた
心)ええっ!?
思わず大きな声が出そうになって、あなたは慌てて両手で口をふさいだ。

廉くんの彼女の名前は春名あなた・・・・・・。
もしかしてあなたと同姓同名の、別の誰かだろうか?
女子生徒①
やっぱりかー。みんなウワサしてたんだよねー
永瀬廉
永瀬廉
けど、アイツにツッコまないでやってくれへん?ビビりやから。ほんま、ごめん
女子生徒①
ううん、はっきり言ってくれてスッキリしたよ。じゃあね
廉に振られた女の子は、さばさばした表情で体育館裏を立ち去っていった。

あなたはといえば、廉の話の内容に動揺しまくりで、頭の中がぐるぐるしている。
永瀬廉
永瀬廉
おい
春名(なまえ)
春名あなた
気づけばいつの間にか廉がそばにやってきていて、あなたをきつくにらんでいる。
永瀬廉
永瀬廉
ってわけやから。お前は今日から俺の彼女や
春名(なまえ)
春名あなた
・・・・・・彼女・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
そう、彼女
春名(なまえ)
春名あなた
・・・・・・
やっぱり廉が言ってた彼女とは、あなたのことらしい。

だけどあなたと廉は今まで一度もそんな関係になったことがないはずだ。
春名(なまえ)
春名あなた
ど、どうして・・・・・・?
永瀬廉
永瀬廉
ど、どうしてって・・・・・・
あなたの質問に、廉は一瞬口ごもった。

ここで『俺はお前が好きなんだよ!』と言えばハッピーエンドなのが、
ツンデレの廉がそんなこと言えるはずもない。
永瀬廉
永瀬廉
さ、最近よく告られんねん。その度に振るのもキツいんや。
だからあなたを彼女にしとけば、みんな諦めるし都合いいやん
春名(なまえ)
春名あなた
・・・・・・そ、そういう理由なら納得!
廉が適当に考えた理由に、あなたはコクコクとうなずいた。

危ない、危ない。一瞬廉くんが自分を・・・・・・?なんて、
ありえない期待をしてしまうところだった。
春名(なまえ)
春名あなた
わ、私、か、彼女のふりをすればいいんだよね?
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・まぁ、そーやな。彼女のふりってことで、彼女 (仮) やな
春名(なまえ)
春名あなた
かのじょ・・・・・・かっこ、かり・・・・・・
あなたは何だかくすぐったいような、それでいて胸がツンと痛くなるような、複雑な気持ちに
なった。

対する廉は自分のラブラブオーラがあなたにバレないよう、必死に俺様な演技を続けている。
永瀬廉
永瀬廉
でもこうなった以上、とことん可愛がってやる。・・・・・・
もう妄想はいらねーな
春名(なまえ)
春名あなた
もうそう?
永瀬廉
永瀬廉
な、なんでもねー
今まであなたとのラブラブなシーンを一人で妄想してましたなんて、とてもじゃないけど
言えない。廉は内心冷や汗ダラダラだ。
永瀬廉
永瀬廉
と、とにかく覚悟しとけ
春名(なまえ)
春名あなた
覚悟・・・・・・?
永瀬廉
永瀬廉
例えば・・・・・・こんなんとか
春名(なまえ)
春名あなた
廉はグッとあなたの体を引き寄せると、強引に肩を抱いた。

すると今まで以上に二人の体が密着し、はたから見たら本物の恋人同士のように見える。

けれど恋人同士の距離に慣れていない二人は一緒に歩くだけなのに、どこがぎこちない動きに
なってしまう。
永瀬廉
永瀬廉
おい、ちゃんと歩いてや! 彼女なんやから当たり前やん
春名(なまえ)
春名あなた
廉に怒られてあなたはまたまた緊張した。
廉のためならばなんでもしてあげたいけど、彼女のふりなんてどうすればいいのか分からない。

そんな二人を、体育館近くの2階のベランダから、海人と美桜が呆れるように見つめていた。

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