無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第33話

彼女 (仮) ④
その後、廉はあなたを家の前まで送った。

その時ちょうど、帰宅途中の紫耀と鉢合わせる。

廉は余裕の笑みを浮かべ、紫耀に話しかけた。
永瀬廉
永瀬廉
おう
平野紫耀
平野紫耀
紫耀は廉とあなたが仲良く手を繋いでいることに気づき、表情を曇らせた。

対する、廉はぐいっとあなたの肩を引き寄せ、ここぞとばかりにラブラブアピールする。
永瀬廉
永瀬廉
俺たち付き合うことにしたんや。な、あなた?
春名あなた
春名あなた
……う、うん
平野紫耀
平野紫耀
……
廉に言われるまま、あなたはコクコクとうなずく。

だけどそれでハイソウデスカと潔く身を退く紫耀でもない。
平野紫耀
平野紫耀
そうなんだ。でもオレ、手に入らないものほど欲しくなるんだよね
永瀬廉
永瀬廉
廉は笑顔から一転、鬼の形相に変わり、紫耀に近づく。
永瀬廉
永瀬廉
……あなたにこれ以上近づくんじゃねー
平野紫耀
平野紫耀
大事なのはあなたちゃんの気持ちだから
春名あなた
春名あなた
心)また私の気持ちの話……
二人の会話を聞きながら、あなたはさっき美桜に言われたことを思い出した。

美桜は紫耀も、あなた自身の気持ちが一番大事だ・・・・・・と繰り返し言う。

今までひたすらに廉を信じ、彼に従ってきたあなただったが、廉の彼女(仮)になったことで、
自分の気持ちってなんだろうと考え出す。
春名あなた
春名あなた
心)本当の私は廉くんをどう思ってるの?この胸のドキドキの正体は何?
あなたは美桜や紫耀のおかげで、少しずつだが変わろうとしていた。

そのことにただ一人、廉だけが気づかないでいた。






































思いかげず、あなたの彼女(仮)の生活が始まった。

廉は今までの分を取り返そうと、あなたをデートに誘ってあちこちに連れ回す。

デート中もあなたの手を握ったまま、放さなかった。

あなたはただ廉に言われるがまま、彼の後をついてゆくばかりだ。
春名あなた
春名あなた
心)廉くんとデート……。でも私はカノジョカッコカリなのに…
どうして?偽の恋人なのにデートする必要、あるのかな?
しかしでーデート中もあなたの頭の中は疑問符だらけだった。

誰もいない二人きりの時も、廉は今までとは違い優しく笑いかけてくれる。

その笑顔にドキドキしながらも、頭の隅では何かが違うともう一人の自分がささやいていた。

その違和感は日を追うごとに、だんだんあなたの中で大きく膨らんでいった。
























ある日、廉とあなたは下校途中、マンションの近くの土手を通りかかった。

相変わらず廉に肩を抱かれるあなたの動きはぎくしゃくしている。

廉は土手で遊んている小学生に気づき、その姿を幼い頃の自分たちに重ね合わせた。
永瀬廉
永瀬廉
そういえば、俺、昔、ここでカギなくしたよな
春名あなた
春名あなた
う、うん
永瀬廉
永瀬廉
家入れなくて困ってたら、お前が一緒に探してくれたんだよな……
春名あなた
春名あなた
……
二人は今から10年近く前のことを思い出す。















































あれは今にも陽が沈もうとしている夕暮れ時。

あなたは廉のために、泥だらけになりながら、失くした鍵を探し続けた。

廉がくたくたになって、探すのを諦めかけた時_

春名あなた
春名あなた
あったよ!
あなたは見事に、廉の家の鍵を見つけ出した。あの時初めて廉の役に立てて、
自分を誇らしく思ったのだ。

廉もあの時のあなたの笑顔が、まぶたの裏に焼きついている。

あの頃から廉はあなたが好きでたまらないのだ。



























廉は土手のベンチに座りながら、感傷かんしょうに浸っていた。

一方のあなたはといえば、廉に肩を抱かれることに、いまだに緊張してしまって。


永瀬廉
永瀬廉
いい加減に慣れてや。付き合ってたらこんなの基本やろ
春名あなた
春名あなた
……
ビクビクしていたら案の定、廉に怒られた。
永瀬廉
永瀬廉
明日から朝迎えに行くし。カバンも俺が持ってやる。
春名あなた
春名あなた
え…
永瀬廉
永瀬廉
もう、行き帰り、美桜と海人はなしな。じゃねーと、二人だけの時間ねーし
春名あなた
春名あなた
………
廉はあなたの同意もなしにどんどん勝手に話を進めていく。

そんな廉と少し距離を置きたくて、あなたは遠慮がちに肩に置かれた手を振り払うけれど。
春名あなた
春名あなた
……れ、廉くん、ちょっと、飲み物買ってくる……
永瀬廉
永瀬廉
じゃああなたん家行こうや、飲み物買って
春名あなた
春名あなた
……
廉はベンチから立ち上がると、さっさとあなたの前を歩きだした。

あなたも慌ててその後をついていく。
春名あなた
春名あなた
心)廉くん一体どうしちゃったんだろう。こんな優しい廉くん、
廉くんらしくないよ……
廉の突然の変化についていけず、振り回される一方のあなただった。
  NEXT
作者
作者
次回をお楽しみに!
作者
作者
お気に入り、ハート、コメント、宣伝お願いします!