場所は変わり、再び屋上。廉は海人に自分の気持ちを切々と訴えている。
廉と海人はあなたと初めてあった時のことを思い出す。
あれは小学2年生の時。あなたは別の小学校から転入してきた。
永瀬家に挨拶来た時も、ビクビクオドオドしていて。
でもそんな可愛いあなたに、廉は激しくときめいたのだ。
あなたにポーッと見とれてしまったことを悟られたくなくて、
廉は初対面でいきなり彼女をゴミ扱いしてしまった。その様子を、
同じ階の海人も、遠目で見ていた。
当時のことをおもいだしながら、海人がつこっむ。
廉はあなたに厳しく接するきっかけになったエピソードを語りだした。
あれはあなたが隣に引っ越してきてから、数日後のこと。
廉は自分の母親とあなたの母親の立ち話を偶然聞いてしまった。
廉の母が息子の失礼な態度を謝ると、あなたの母はいえいえと笑った。
その話を盗み聞いて、廉はなるほどな・・・・・・と思ったのだ。
だったらあなたに優しくしなければいい。
だって廉はあなたにとって゛いい人゛になりたいんだから。
昔のことを思い出しながら、廉は自分が正しいことをしていると改めて確信した。
自信満々で言い切る廉。海人はこりゃダメだ、とため息をついた。
ただし海人はここで、廉に釘を刺すのも忘れない。
痛いところを指摘されて、廉はグッと押し黙る。
確かに最近の廉はあなたにきつく当たりすぎていたような気がする。
あなたが好きでたまらないのに、好きだと素直に言えない自分。
こんなに好きなのに、自分の気持ちに気づいてくれないあなた。
どちらにもイライラして、その気持ちを持てあましていた。
だけどどうやって二人の関係を変えたらいいんだろう?廉にはそれがわからない。
だから海人の言っていることが正しいと頭では理解していても、
今はまだ前に踏み出す勇気を持てずにいた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。