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第32話

彼女 (仮) ③
放課後。

海人は廉に、美桜はあなたにそれぞれの気持ちを聞くことにした。

まずは海人と廉。女子生徒の告白を利用して、あなたを彼女 (仮)
にした廉に、海人はチクリと一言。
髙橋海人
髙橋海人
ふぅん、カノジョカッコカリね。やっぱりビビリだ
永瀬廉
永瀬廉
ビビり言うな!
廉は海人から視線を外し、ふてくされる。
髙橋海人
髙橋海人
告ってくれた子にも悪いし。なんでフツーに付き合おうって言えないかなぁ
永瀬廉
永瀬廉
かっこーわりーやろ!
髙橋海人
髙橋海人
かっこわるいって言うか、怖いんでしょ。あなた、あんな感じだから、
付き合おうって言ってオロオロされたりするのが
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・る、るせーな、オカン!
図星を指されて、廉はますます不機嫌になった。

廉も自分に勇気が足りないのは分かっている。

でもあの平野紫耀にはどうしても負けたくない!負けないためにはあの男よりも先に、
形だけでもあなたを自分のものにする必要があったのだ。
永瀬廉
永瀬廉
俺は・・・・・・今まで出来なかったことを全部やるって決めたんや!
めちゃめちゃ可愛がって優しくして!そしたら・・・・・・あなただって、
俺のことを好きに・・・・・・
そうだ。これからはあなたをイジめるんじゃなく、あいつみたいに優しくしてやろう。

あなたの笑顔が見たいから。あなたに自分を好きになって欲しいから。

本当の気持ちが伝われば、あなたも自分を幼なじみではなく異性として意識してくれるはず!

廉はそう必死に自分を励ましていた。

そんな廉を見て、海人は「相変わらず不器用な奴・・・・・・」と心配になるのだった。





一方、あなたと美桜はトイレで長い間話し込んでいた。

話題はもちろん新しいあなたと廉の関係についてである。
今田美桜
今田美桜
カノジョカッコカリ、とか、マジで意味わかんない
春名あなた
春名あなた
ヘンだよね・・・・・・
今田美桜
今田美桜
ヘンすぎる!
美桜は強い口調で言い切った。あなたはあなたで突然廉に
彼女(仮)に指名されて、ずっと戸惑っている。
春名あなた
春名あなた
なんでだろう、本当に、最近、廉くんと二人でいると、心臓がドキドキして・・・
どんどんそれがひどくなってて。カノジョカッコカリ・・・・・・なのに、
すごいドキドキしてる。ヘンすぎるね、私・・・・・・
うつむきがちに、素直に自分の気持ちを告白するあなた。その横顔はとてもきれいだ。
今田美桜
今田美桜
・・・・・・あなた、それって・・・・・・
春名あなた
春名あなた
ん・・・・・・?
今田美桜
今田美桜
・・・・・・
恋・・・・・・だよね?  ━━━と、美桜は言い出せなかった。

いまだにあなたは自分の廉に対する気持ちを自覚していない。

あなたは廉を幼なじみとしてじゃなく、ただ一人の異性として好きなのだ。

けれどそれは他人に指摘されて気づくんじゃなく、あなた自身が
気づかなければいけないこと。だから美桜は喉まででかかった言葉を、グッと奥に飲み込んだ。
今田美桜
今田美桜
・・・・・つかさ、カノジョカッコカリとかじゃなくて、普通に彼女でいいじゃん
春名あなた
春名あなた
・・・・・・
女子トイレを出た後、昇降口に向かいながら、美桜は廉を避難した。

正式にあなたに交際を申し込めないヘタレぶりが、廉らしいといえば廉らしいけれど。
今田美桜
今田美桜
廉、怖いんだよ、あなたと付き合って、結果、フラれたりするのが。
・・・・・・だから、カノジョカッコカリとか言ってたんだよ
美桜の話を聞いていたあなたは、廊下の途中で足を止める。
春名あなた
春名あなた
美桜ちゃん、私・・・・・・
今田美桜
今田美桜
ん?
春名あなた
春名あなた
廉くんの役に立てるなら・・・・・・カノジョ、カッコ、カリでいい
今田美桜
今田美桜
・・・・・・あなた
あなたは切なそうに微笑んだ。

廉のためなら、彼女 (仮)なんてよくわからない中途半端な立場でもいいと言うあなた。

そんなふうにあなたが健気であればあるほど、美桜は苛立ってしまう。
今田美桜
今田美桜
・・・・・・あーもう!あなたはもっと自分の気持ち、
大事にしな。・・・・・・ね?
春名あなた
春名あなた
・・・・・・私の気持ち・・・・・・?
美桜はあなたに精いっぱいのアドバイスを贈った。その言葉はあなたの深いところに
突き刺さり、わずかな波紋はもんを巻き起こす。

あなたにとっては自分の気持ちなんて二の次で、いつも廉を優先してきた。

それが当たり前だった。でもそれじゃダメだと美桜は言う。
春名あなた
春名あなた
心)だって私はダメダメで・・・・・・廉くんの言うことを聞いていないと
何も出来ない子で・・・。
そんな私が自分の気持ちを主張なんかできるはず・・・ないよ・・・・・・
子供の頃から続けられてきた廉の洗脳は、まだまだ強固出来ない。

あなたはその腐りからなかなか解き放たれないのだった。

廊下で美桜と別れた後、あなたは大階段のとことで廉と合流した。

あなたを待っていた廉は、あなたに向かって手を差し伸べる。
永瀬廉
永瀬廉
ほら
春名あなた
春名あなた
・・・・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
どうしたん?
廉に手を握られるのは嬉しい。だけどいつもと違って優しい態度の廉に、少し違和感を感じる。
春名あなた
春名あなた
て、手汗が・・・・・・ヒドくて・・・・・・
永瀬廉
永瀬廉
昔っからやろ。何年一緒にいると思ってんねん
春名あなた
春名あなた
心)うっ
春名あなた
春名あなた
・・・・・・
廉は緊張しているあなたの手を握ると、大階段を降り始めた。
永瀬廉
永瀬廉
・・・・・・いいんだよ。あなたはそれで
春名あなた
春名あなた
・・・・・・
二人が仲良く恋人繋ぎしているのを見て、周りの生徒が「大胆!」
「やっぱりあの二人、デキてたんだ・・・!」と騒ぎだす。

あなたの胸はまたドキドキしていた。それはときめきによるドキドキと、不安によるドキドキ。
どっちも同じくらいに混じっていた。
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