第10話

もやしときゅうりと黒色《閲覧注意》
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2021/03/09 10:36
attention

この話は本当に誰も幸せになりません。

棚澤がクズです(1000%フィクション)

閲覧注意というか超閲覧注意です。

クズ系の話を許せる方のみお読みください。
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最近けんすけはよくタートルネックの服を着ている。気に入ってるのかとも思ったが毎日となると流石に不審に思う。無理もないだろう。
「なんで最近タートルネックばっかなん??」
ほんの興味本位だったのだが、それを聞くとけんすけは狼狽え出した。明らかに動揺している。
これはおかしいと思った俺は拒むけんすけを制止して首元を見た。そこには...
「は??」
首を絞めたような赤くなった痣と、噛み跡のようなものがあった。もしやと思い服を捲り腹部も見る。そこにも殴られた跡と思しき痣が多くあった。
「誰にされた!!アンチか!?」
好きな人がここまで酷い暴行を受けていると知り、俺は怯える彼の肩を掴み感情のままに問いただした。
しばらく素直に答えるべきか悩んだような表情を浮かべたあと、ゆっくり口を開いた。
「...たなっちさん」
口から出たのは俺も心から信頼していたはずの仲間の名前だった。

俺は一瞬理解できなかったがすぐにたなっちの元へ向かった。
俺の背中に向かって
「はじめさんのせいですよ」
と呟いていたことに俺は気づいていなかった
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俺は下に降りた。
下でたなっちはポケカの整理をしていた。
部屋に入るとたなっちは顔を上げ嬉しそうな表情をした。
「はじめさん!!どうしたんすか??」
その声を無視して俺はたなっちを立たせ、胸ぐらを掴み頬を1発殴るとその身体を思い切り壁に押付けた。当の本人は驚きと悲しみの表情を浮かべていた。
「急にどうしたんすか」
「なんでけんすけにあんなことした!?」
先程同様感情のままに声を荒らげる。
理解したような表情になった後たなっちはこう言った。
「あんたのせいっすよ」
嘲笑とも取れる笑みを浮かべながらそう一言だけ。ますます訳が分からなくなった。
「何言ってるんだ??」
「自分はけんすけに抱いてくれって言われた。はじめさんやと思っていいからって。」
俺やと思っていいってなんだ
「あいつは俺の事好きなんすよ。でも俺はあんたが好きって知ってたからはじめさんやと思っていいって。」
間髪入れずにたなっちは続けた。
「でもあいつははじめさんじゃないから俺は満たさなかった。結果ああして俺はあいつに暴力を奮った。でも何回そうしてもあいつは自分を献身的に慰めてくれましたよ。」
最早最後は武勇伝を語るDQNと変わらない口調だった。
「分かりました??あんたの大好きな上村健介くんがボコボコにされてるのも全部あんたのせいなんすよ!!」
そう言い放つと力の抜けた俺の手を振りほどきたなっちは部屋を後にした。
俺は全身の力が抜け、その場に座り込んだ。
"全部あんたのせい"の言葉がグルグルと頭を回る。
俺らを繋ぐ三角形の歯車はとうに狂っていたようだ。

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