幸せな人生なんてものは、この世に存在しません。
もしあるとしても、俺には縁のないこと。Subとして生まれ、Domの欲を満たすためだけに存在するから。
幸せなんて、求めてはいけないんです。
うらたside
今日も眠いな…ふぁ〜。
あ、おはようございます。うらたです。
今年で20歳になります。
20歳になりますが…パートナーのDomはおりません。
いないというか、つくらないんです。向こうから見つけてくれるまで。
そんなこと、あるわけないのにね?
俺は急いで支度をして学校に向かった。
すれ違う人達に挨拶をして教室に向かう。
俺は1番前の席の男を見た。
遠目からでもわかる整った顔。しかも家がお金持ちらしい。
片や俺は、眼鏡をかけてていつも暗い。家も決して裕福ではない。彼とは正反対です。
subじゃなくても人がよってくる。まぁ、お金持ちの彼女さんになれれば一生遊んで暮らせますからね。
首につけてるcolorから欠片が落ちてきた。
俺がつけてるcolorは、高校生からつけています。親が、なけなしのお金で買ってくれた最後の贈り物です。『最後』というのは、そのすぐ後、交通事故で亡くなりました。
colorはとても高く、俺なんかにはとても買えません。もしこれが壊れたら、誰かからお下がりで貰おうかと考えています。
例えば…ほら、彼とか。
彼は月崎志麻。俺と同じsubですが、もうパートナーがいます。しかも、社会人。
彼の首についてるcolorには、宝石が散りばめられていて、しかも緊急時にボタンを押せば、パートナーにSOSが行くという最近話題のやつ。さすが社会人のパートナー。
そう言いつつも、内心嬉しそうな志麻。
いつも通り時間が過ぎ、帰りの電車へ。
そんなことを考えていると…
サワッ
少し視線を後ろへ送ると、俺の尻を触る大きな手。
残念でしたね〜俺は男!!!!フハハ
カチャカチャ
助けを呼ぼうにも恥ずかしさと恐怖で声が出ないし、俺にはパートナーもいません。
咄嗟に前にいる人の服をキュッと掴んでみたんです。
すると、振り返った彼は俺を見てすぐ引き寄せてくれました。
俺を痴漢してた人は青い顔してましたイイキミ
(次の駅で連れてかれてました。)
失礼な。立派な大学生です!!!!
なんなんでしょうこの人。凄いグイグイくる…
嘘でしょう!?
と、遠くに志麻を発見!!!!
俺は志麻のもとに走りました。
この時の俺は、この出会いが俺の人生を狂わせるとは思いもしませんでした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!