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第3話

お礼の品
363
2021/08/23 05:41
うらたside
勢いで逃げ帰ってしまったとはいえ、助けてくれたのに流石に失礼だったかもしれません…
月崎 志麻
って思うならお礼言いにいえばええやん。
浦田 渉
う〜…でもさぁ?
月崎 志麻
なんかプレゼント買ってけば?
浦田 渉
えぇ!?何がいい!?
月崎 志麻
それは自分で考えな!買いに行くのは付き合うから!
浦田 渉
ん〜…時計、とか?
月崎 志麻
あんたそんな高いの買うの?
浦田 渉
だって…助けてもらったもん…
月崎 志麻
なら奮発して頑張れ。一緒さいくべ。
浦田 渉
ありがまーしぃ
てなことで、お礼の品は腕時計ということに決まりました。

でも買ったところで渡さないということに気づいたのは買った直後…。
月崎 志麻
駅で待ってなよ。俺もセンラさん待つから。
浦田 渉
うん。
それから数十分後…
黄百合 センラ
あれ、志麻くん。
月崎 志麻
センラさん!
この人が志麻のパートナーの黄百合センラさん。
大きな病院の院長の息子で、跡取りなんですって。
黄百合 センラ
どした?
月崎 志麻
待ってたん!うらたさんの付き添いのついでに!
黄百合 センラ
へぇ、うらたん久しぶり〜。
浦田 渉
お久しぶりです。
黄百合 センラ
誰か待ってんの?
浦田 渉
あ、はい。
黄百合 センラ
誰々ー?
( ゚д゚)ハッ!まさかうらたんもついにパートナーが…!?
浦田 渉
違います!助けてもらったからお礼しに来てんです!
黄百合 センラ
へぇ。どんな人?知ってる人かも知んない。
月崎 志麻
あ、俺もどんな人か聞いてないや。どんな人?
浦田 渉
えっとね〜。
目がすごい大きくて、鼻高くて、赤い唇の人!
月崎 志麻
ん〜そんだけ?なんか…特徴的なとこないの?
浦田 渉
あ〜…赤い髪の人!綺麗な真っ赤な髪!
黄百合 センラ
赤髪…あ、もしかして坂田?
え、言われてもわかんないですけど…
月崎 志麻
あー!坂田さんか!
浦田 渉
な、なんでまーしぃも知ってんの?
黄百合 センラ
坂田ってやつ、俺とおんなじ勤め先なんよ。だから俺が忘れ物したらまーしぃ届けてくれるんやけど、そんときに会うんよ。
えっと〜ポチポチこいつ。
見せられたスマホに写ってたのは確かにあの時の人。
黄百合 センラ
坂田待ってんなら終電まで待つしかないやろなー。あいつ今日派手に怒られて罰として夜の見回りだから。
浦田 渉
な、何したんですか?
黄百合 センラ
えっとね〜後輩の女の子に手出そうとして、彼女さんと喧嘩になった。
ズキッ…何、痛い…

彼女…さん?彼女いるの?
月崎 志麻
またやったの?懲りないねぇ。
黄百合 センラ
まぁ終電まで待つなら一緒に待ったるで?
それか、明日俺が渡しといたろか?
浦田 渉
いえ、一人で待つので大丈夫です。
月崎 志麻
それは危ないからダメ!!!!
浦田 渉
大丈夫大丈夫。まーしぃと違ってドジじゃないから。
月崎 志麻
もう!からかってさ!
黄百合 センラ
ほんとに大丈夫?
浦田 渉
うん。
月崎 志麻
じゃあ…またね。
浦田 渉
うん。また。
2人が帰ったあと、俺は腕時計を抱えスマホを見ながら終電を待っています。
もしかしたら、終電で帰ってこないかもしれない…そう少し不安になりながらも終電まで待ちました。
浦田 渉
(これが終電…)
でも、あの時の赤髪は降りてきませんでした。
浦田 渉
ハァ…待ち損かぁ。
諦めて帰ろうとした時…
坂田 優
あっぶな!!!!寝てたぁ!!!!
後ろから叫び声が聞こえました。
浦田 渉
あ…
坂田 優
ん?あれ?
時が止まったような感覚。
俺たちの周りだけスローモーションのようにゆっくり進んでます。
坂田 優
あの…朝の?
浦田 渉
え?あ…坂田、さん。
坂田 優
なんで名前…
浦田 渉
あの、センラさんに教えてもらいました。
坂田 優
あ、君センラの知り合い?
浦田 渉
俺の友達のパートナーが…センラさんなので。
坂田 優
へぇ。じゃあ、君の名前も教えて?
浦田 渉
うらたです。浦田渉。
坂田 優
へぇ。じゃあうらさんだ。
浦田 渉
うらさん?
坂田 優
うん。へへ。
少し恥ずかしそうに笑う坂田さんを見て俺もふっと笑った。
浦田 渉
あのッ…これ!
浦田 渉
お礼もきちんとせずに逃げ帰ってしまってすみませんでした!!!!
俺は忘れないうちに、と買った腕時計を渡した。
浦田 渉
決して高価なものでは無いんですけどッ…
坂田 優
え!?いやいいよ!
浦田 渉
え!?いや、貰ってください!折角買ったんで!
坂田 優
そ、そお?
浦田 渉
はい!
坂田 優
じゃ、じゃあ貰うわ。ありがとな。
早速渡した腕時計を開ける坂田さん。
浦田 渉
あの、高価なものでは無いんですけど…
坂田 優
いやいや!?こん…えぇ!?
流石に素朴すぎたか…?
坂田 優
ええん!?これ!?
浦田 渉
え?は、はい。
坂田 優
これ俺欲しかったやつ!!!!
いやー嬉しい!!!!ありがとぉ!
浦田 渉
いや、そんなんでよければ…
坂田 優
めっちゃええよ!!!!感謝感謝!
静かなホームに、坂田さんの声が木霊しました。
喜んでもらえたようでよかったです…

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