朝のST五分前、教室には朝練終わりの生徒がだんだん増えてきた。
俺は家から持ってきたおにぎりを頬張った。
これでなんとか昼まで持つな。
周りの男子も、パンやおにぎりを食べている人が何人かいる。
あ、やべ明香里きた。
来る前に食い終わろうと思ってたのに、今絶対俺おにぎりくさい。
慌てて残りを口に入れ込むと、明香里は俺の隣の席に座った。
ヴヴッ
ん?
そこには、
と、千紗からのメッセージが届いていた。
あいつ…!
隣に聞こえない程度の舌打ちをして、千紗の方を睨み付ける。
顔は携帯で隠れていたが、その向こうはにやけ顔であることは間違いないだろう。
………
おい既読無視かよ。
顔を上げると、千紗は携帯を見ておらず、廊下を歩く担任教師、爽太先生を見ていた。
いや、見つめていた、の方が正しい。
俺はすかさず、
と送ったが、千紗は携帯のメッセージに気づかないままだった。
しかし、「せんせえおはよーう!!!」と言う声と同時に、女子生徒が抱きついた直後、千紗はパッと視線を携帯に戻した。
その瞬間チャイムがなり、女子生徒を引き剥がしながら先生が教室に入ってきた。
携帯には、
と、気持ちとは裏腹のものであろうメッセージが送られていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。