第5話

第5話
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2020/11/15 12:01

朝のST五分前、教室には朝練終わりの生徒がだんだん増えてきた。
雄哉
雄哉
あー疲れた腹減った。

俺は家から持ってきたおにぎりを頬張った。



これでなんとか昼まで持つな。



周りの男子も、パンやおにぎりを食べている人が何人かいる。
明香里
明香里
おはよ雄哉…ってまたおにぎり食べてる。

あ、やべ明香里きた。



来る前に食い終わろうと思ってたのに、今絶対俺おにぎりくさい。



慌てて残りを口に入れ込むと、明香里は俺の隣の席に座った。
雄哉
雄哉
何、欲しいの?
明香里
明香里
いいですー、太らせないでくださいー
雄哉
雄哉
いや別に太ってねえじゃん、普通だろ。むしろもうちょい太った方がいい感じに…
明香里
明香里
体型のこと言わないでよ、恥ずかしい。
雄哉
雄哉
いや別にそういうんじゃなくて…

ヴヴッ

ん?



そこには、
千紗
千紗
『朝から仲良いねえ〜🥴』

と、千紗からのメッセージが届いていた。



あいつ…!



隣に聞こえない程度の舌打ちをして、千紗の方を睨み付ける。



顔は携帯で隠れていたが、その向こうはにやけ顔であることは間違いないだろう。
雄哉
雄哉
『うるせえおにぎり投げんぞ。』

………



おい既読無視かよ。



顔を上げると、千紗は携帯を見ておらず、廊下を歩く担任教師、爽太先生を見ていた。



いや、見つめていた、の方が正しい。



俺はすかさず、
雄哉
雄哉
『おおーっと、好きな人に目が釘付けですか〜🥴?』

と送ったが、千紗は携帯のメッセージに気づかないままだった。



しかし、「せんせえおはよーう!!!」と言う声と同時に、女子生徒が抱きついた直後、千紗はパッと視線を携帯に戻した。



その瞬間チャイムがなり、女子生徒を引き剥がしながら先生が教室に入ってきた。



携帯には、
千紗
千紗
『好きじゃない』

と、気持ちとは裏腹のものであろうメッセージが送られていた。

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