勉強会のあった次の日、私は茜ちゃんに呼び出されて一枚の写真を見せられた。
その写真には、私が先生の忘れ物を届けに行った瞬間が写されていた。
写真を手に取り、私の前でペラペラと見せつける。
さ、最悪だ……いつの間にこの瞬間を撮られてたんだろう。
刺々しい言い方に、胸を突かれる思いがした。
瞬きもせずに私を睨みつける茜ちゃんに、従うほかなかった。
それが、先生を避け続けた理由だった。
一気にまくし立てる茜ちゃんに、先生も思わずたじろぐ。
……分かってたことなのに、いちいち傷ついてしまう。
茜ちゃんはぐいっと先生に顔を寄せて、目を見つめながら呟いた。
爽太先生の目に戸惑いと驚きの色が広がった。
その目は茜ちゃんの首もとを捉えていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。