朝練に向かう通学路の途中で葵くんに会った。
朝練前恒例の、あくび混じりの挨拶。
いつも飄々としている葵くんの、朝の無防備な感じにきゅんとする。
と言いながらも、二つめのあくびをした。
千紗がにたりと笑って私たちのそばにきた。
そう言って、颯爽と走っていった。
二人きりにしてくれてありがとう、と心の中で千紗に手を合わせた。
いつも気遣わせちゃってるけど、そういえば千紗って好きな人いるのかな。
思い返せば、恋バナは私ばっかり話してたし、また今度聞いてみよう。
なんだ結局私たちも走るんじゃん。
…待って、じゃあ千紗は遅刻しそうだから走っていったのか!
まずい、急がなきゃ!!
鞄を肩にかけ直して、二人で朝の通学路を駆け抜けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。