あれは3ヶ月前のこと────────
私はいつも通り家へ帰るために電車を待っていた
『(あ、電車来た)』
プシューー
うわ、今日結構混んでるな…
隅の方に行こ
アナウンス「次はー〇△駅ー」
まだ人増えるのかぁ…
そしてドアが開きゾロゾロと人が入ってくる
『(あと4駅…長いな)』
そう思っていると自分の太ももに違和感を感じた
『(……ん?人の、手?)』
人が多いから当たってるだけかな。
まぁ、仕方ないか
と、黙っていると
『っ!』
その手がどんどん上に来ているのに気がついた
『(やだやだやだやだ…痴漢…?)』
気持ち悪い…
少しだけ後ろを向くとチャラチャラとした20代くらいの男性がニヤニヤしながらこちらを見ている
『(さいあく……絶対この人だ…)』
" 助けて "
その言葉を言おうとするが怖くて声が出ない
『(誰か…!)』
?「てめぇ、何してんだ。次の駅で降りろ」
「ひっ…… 」
・
・
・
in駅員室
駅員「痴漢?」
「俺、やってねーよ!」
?「往生際が悪ぃな。お前以外誰がいんだよ」
「し、知らねーよ!」
『わ、私、触られました!この人が助けてくれたんです!』
「は、はー?そんな短いスカート履いてるから痴漢してくださいオーラが出てんだよ!」
『……っ』
意味わかんない…なんてそんなこと言われなきゃいけないの
?「……てめぇふざんけんなよ」
グイッ
?「こいつがどんだけ怖がってたかわかんねぇのかよっ!」
と、男性の胸ぐらを掴み殴る勢いで怒鳴る彼。
まずい。駅員さんの前で殴ったりしたら…この人が停学とかになっちゃう…!
『あ、あの!私は大丈夫ですから…手 離してください…!』
?「けどよコイツ…!」
『私のせいで、あなたを停学させたくないんです…』
?「…わかった」
駅員「はい、じゃあ君 奥の部屋で警察来るまで待ってようか」
「だから、俺やってねぇーよ!」
駅員「はいはい」
・
・
・
『ほ、ほんっとにありがとうございました!!』
?「おう、早く助けれなくて悪かったな」
『いえ!あの時 来てくれて本当に助かりました。ありがとうございます』
?「あとお前の制服…ウチの生徒か?」
『え、あ…はい!青葉城西です』
?「同じ学校だったんだな」
『そうみたいですね!』
?「じゃあな、気をつけて帰れよ」
『はい!ほんとにありがとうございました!』
?「おう」
『って事があったの!もうこれは惚れちゃうじゃん?』
花「あー、流石岩泉ってとこだな」
『でしょでしょでしょ!?もー、イケメンすぎて無理…』
花「でもさ それだけの会話で告りに行こうとしてたんだろ?」
『え?』
花「名前も知られてねーのに告白してOK出されるわけねぇじゃん」
「良かったな、告んねーで」とカフェオレをストローで飲む花巻。
『確かにそうだ』
花「え、分かってなかった感じ?」
『え、うん』
おい、花巻。マジかよこいつみたいな顔で見るな。
よし、じゃあまずは公認してもらわなくちゃ
『私、岩泉くんと友達になる!』
花「おー、まぁ頑張れ」
『行ってきマース!』
花「は?おい、今からかよ!」
私は教室を出て岩泉くんのクラスに直行した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!