第2話

ー 何この状況 ー
3,406
2021/07/21 05:34
え??




待って。え??



誰この人。初めて見たんだけど。


?「なになにー?俺になんか用事かな?」


いや知らない人に用事もクソもないよ


『え?』

?「え?」

え?????

『え、なんですか?』

?「え、俺に用事があったんじゃないの?!」

『まず誰なんですか?!』

?「いや、それ俺のセリフ!」

岩泉「俺は先に部室行ってるぞ。及川、お前も早く来いよ」

?「おっけー」

『?!!??』

ちょちょちょちょちょ!

まてまてまてまて!!

私のお目当ての岩泉君は「んじゃ」と言って去っていく。

え、ちょ、行っちゃうじゃん!!

引き止めろ私ぃい!!

『ちょ、待ってくださ──────』

しかし私の声は届かず、彼は行ってしまった。


?「?及川さんはここにいるじゃん?」

てめぇじゃねんだよ!!

『いや違くて……岩泉君に用があったんですけど』

?「岩ちゃんに?あぁ、それなら俺が言っといてあげるよ。どうしたの?」











いや告白なんだから本人に言うもんでしょ!!


伝言?え、何を言ってんのコイツは


こーゆー状況なら明らか告白だろ!!!

顔良いんだからそういう経験してきただろ察しろやぁ!!
『い、いや対した用じゃないんで…また後日でいいです』

言い訳ないだろ!!(泣)
なにが「対した用事じゃない」だ!!めっちゃ大事なのにぃ!何やってんだ自分!
?「そう?遠慮しなくてもいいんだよ?」

『いやいや!お気遣いなく!』


くっそぉぉ!!本当は本人呼んでくださいって言いたい!
でも迷惑だ!告白する前に嫌われる!それだけは避けたい!
『あ、お名前お伺いしても…?』

?「俺の事知らないの?!」

『え、はい』

?「へぇ、そんな子いるだ……俺は及川徹、3年6組だよ!」

『あ、3組の七瀬あなたです』

及川「あなたちゃん…?あぁ!」

及川君は何か思い出したような顔つきで私を見る。

及川「あなたちゃんって去年のミスコン優勝してた子だよね?」

『え、なんでそれを……』

及川「見た目でそうじゃないかなって思ってたけど名前聞いて確定したよ!一緒にステージ立ったじゃん!」

そうだ。

彼も去年のミスターコンで優勝して私と一緒にステージに立った。

名前は興味なかったから知らなかったけどね。

今の今まで忘れてたぁ……

『よろしく…ね』

及川「うん!こちらこそー!」

『じゃあまた…』

及川「ばいばーい!」










せっかく心の準備してたのに…!
この日のために家で散々予習したのに!!

名前なんだっけ。あの人の……及川だっけか?
あの女子にキャーキャー言われてる奴じゃん!


知ってるよ!有名だもん!



てゆーか!岩泉君のあの顔……私の事知らないっぽいよな。

自己紹介なら岩泉君にしたかったっっ!!



『はぁ……今日は災難だ』








『っていう事があったの!どう思う?!












──────花巻!』


花巻「いや俺に言われましても…」

『なんでさぁ…!』

花巻「それはタイミングの問題じゃね?」

『そんな……私の残酷な出来事を”タイミング”なんて言葉で終わらすなんて!』

花巻「だってそれ以外考えられねーもん」

私の目の前に座っているコイツは花巻貴大。
私と同じ3組だ。

今、こうやって私の愚痴を聞いてくれるクラスメイト。そして重要なところは岩泉君と同じバレー部なのだ。



『そ・ん・で!今日の朝練で岩泉君、私の事なんか言ってた?!』

これは私の朝のルーティンだ。
これを聞いて私の一日が始まる。

花巻「いやなんも」

『え』

くっそ……またか!

『「なんも」って…私のこと掠れも言わなかったの??』

花巻「あなたのことっていうか…名前すら出てこなかったし」

『うそでしょ』


なんてこったパンナコッタ……


花巻「うわ、寒。なにお前」

『え、口に出てた?』

花巻「そりゃもうバッチリ👍」

『……とにかく!私は諦めないっ!』


こんなことで冷めるほど私の岩泉君への気持ちは薄っぺらくないんだよ!!


花巻「それはそれは お熱いことで」

『あったりまえじゃんっ』

花巻「そういえばさあなたってなんで岩泉好きになったの?」

『あぁ、それは────────』

プリ小説オーディオドラマ