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第5話

呼んだらすぐに来い side:楠木

あの日、ちんちくりんを泣かせてから
LIMEの返事が返ってこなくなった。



***
大雅
すぐ来い
大雅
今日は2人だから
大雅
おい、返事かえせ
***
既読はつくのにガン無視だ。

楠木大雅
楠木大雅
あ~~~……くそ!!
ちんちくりんのクセに無視すんなよ!
楠木大雅
楠木大雅
(それに泣くとか……
女々しいことしやがって)

あの日から、あいつの泣き顔が
頭にこびりついて離れねえ。

泣かせたことなんて星の数ほどあるのに
こんなに悩むのは初めてだ。
楠木大雅
楠木大雅

(謝ればいいのか……?)

楠木大雅
楠木大雅
いやいや
なんで俺が謝んなきゃ
なんねえんだ!!

ぐしゃぐしゃと自分の頭をきむしって
イライラは最高潮。

クズな発言に慣れすぎて
逆に謝り方なんて知らねえし。
楠木大雅
楠木大雅
(俺だって分かってる……
悪いことをしたってことくらい)

イライラと授業準備を始めると
ひらりと机から出てきたラブレターを見て
また深いため息が漏れた。
楠木大雅
楠木大雅
またかよ

本当に面倒くせえ。



***
大雅
放課後に中庭な
大雅
すぐに来いよ!
***

またしても既読スルー。

仕方なく俺は一人で告白を断ることにした。

何度来たか分からない放課後の中庭で
深く息を吐いた。

楠木大雅
楠木大雅
そもそもアイツがいなくても
今日は2人ともちゃんと断れたし…
もうどうだっていいんだ!

そうやって自分に言い聞かせても
なぜだかちんちくりんの泣き顔が浮かんで
胸がもやもやする。
女子
女子
あのぉ〜
楠木大雅
楠木大雅
あ~~くそ!!
モヤモヤする!
女子
女子
楠木先輩?

目の前にはいかにもって感じの女。

長いロングヘアをくるくると巻いて
きつい香水のニオイに吐き気がする。

やけに大人びた目元のホクロが
大嫌いな母親にソックリで​───
楠木大雅
楠木大雅
ひっ
女子
女子
先輩?
思わず後ずさるも
目の前の女はじりりと俺ににじり寄ってきた。

女子
女子
楠木先輩!!あのぉ……
ラブレターは読んでくれましたかぁ?
楠木大雅
楠木大雅
よ、読んでねえよ
こんなもんいらねぇんだよ

ビリッ

手紙を女の目の前で真っ二つに破る。
こうすると大抵の女は泣いて去っていくんだ。
女子
女子
ふふっ!
そう言うと思って
たくさん書いてきたんですぅ
楠木大雅
楠木大雅
……は?

女は全くひるむことなく
数十枚もあるラブレターを
スクールバッグから取り出した。
楠木大雅
楠木大雅
いらねえっつってんだろ!
女子
女子
でも……書いても書いても
キリが無いんですよぉ
貰ってください!
それに私知ってるんですよぉ……
楠木大雅
楠木大雅
な、なんだよ
女子
女子
先輩、今彼女いますよねぇ?
2年生の椎名まことさん
血液型はO型で、誕生日は
8月23日の乙女座!
好きなものは購買のアンパン
もちろん先輩のことは
もっとも〜っと知ってますよぉ
楠木大雅
楠木大雅
何だ、お前……


この女、ヤバい。


女子
女子
私、あんな子より
ずっと先輩にお似合いだと
思うんですよねぇ〜ね?
楠木大雅
楠木大雅
うわっ!

すり寄ってくる女が
俺に抱きつこうと手をのばす。

とっさに腕を払いのけると
女はスクールバッグを地面に落とした。
女子
女子
あ、ちょっと先輩
ヒドイですよぉ〜

バラバラと落ちた何かを拾う女。

それには見覚えがあった。
楠木大雅
楠木大雅
それって……俺の
女子
女子
あ〜分かりますぅ?
これは先輩がゴミ箱に捨てた
シャーペン!それに先輩が無くした
消しゴムでしょぉ〜
それから先輩の使ったストローと
噛んだ後のガムと、それからぁ〜
楠木大雅
楠木大雅
ひっ!

俺は思わずその場から逃げ出した。
全身に鳥肌がたち、手足は震えてうまく走れない。


後ろを振り向くと、女は笑顔で追ってくる。
女子
女子
待ってぇ〜
楠木大雅
楠木大雅
嘘だろっ!!

俺は必死で逃げた。

女から死角の木の影に隠れ
震える手でスマホを取り出し助けを求める。


***
大雅
すぐに来い!
大雅
マジでやばいから
大雅
たのむ
***

頼れるのはあのちんちくりんしかいない。
ぜえはあと息があがり、例の発作が出そうだ。

しかし既読がついても返事が来ない。
楠木大雅
楠木大雅
くそっ!!あいつ何してんだ……
俺がこんなにもピンチだっていうのに

焦った俺は通話ボタンを押した。

女に電話なんかしたこと無いのに​───


するとすぐ近くからスマホの着信音が聞こえた。

そして慌てるような声も。
椎名まこと
椎名まこと
うわぁあ!え!?
おわっ!何?

あのちんちくりんがスマホを持って
植木の影から顔を出していた。

椎名まこと
椎名まこと
いや!あのこれはっ
覗きとかじゃなくて
その、心配で……

気まずそうに目をそらすちんちくりん。

その顔を見た瞬間心底ホッとして力が抜けた。
楠木大雅
楠木大雅
呼んだらすぐ来い
それに、見てんなら
早く助けろよな〜……

俺はちんちくりんの手を掴み
情けなくもその場にしゃがみこんだ。