第24話
ウソつきな先輩
───あっという間に月末。
気づけば今日が最後の登校日だった。
考えはまとまらないまま、時間だけが過ぎていく。
私は先輩への一方通行な思いを持て余し
学校の荷物をまとめ始めた。
笑顔ですんなりと別れを告げるほのか。
かすかに聞こえた言葉を無視して
私は話を続けた。
声を荒げるところなんてはじめて見た。
ほのかはキッと私を睨むとそのまま
走り去っていった。
クラスメイトはひそひそとほのかの悪口を言ってる。
ほのかには本当の友達はいないんだ……。
するとポコンとスマホが鳴った。
***
***
思わず既読状態にしてしまって
頭が真っ白になる。
「二度と俺に関わるな」
そう言ったのは先輩なのに……。
突然後ろで先輩の声が聞こえて、慌てて振り返る。
ぎゅっと手を掴んだ先輩は、そのまま私を引っ張る。
何も言わずに先輩は
いつもの裏階段へと私を引っ張っていった。
───誰もいない裏階段。
私の手を握ったまま先輩は
なぜか悲しそうな顔でそう言った。
これ以上ここにいたら
ずっと言わずにいた言葉が零れ落ちそう。
私は先輩の手を振り払い
その場から逃げようとした。
先輩は焦ったように私の腕を引き
とっさに壁に押し付ける。
先輩の影が私の顔にかかり、そのまま唇を奪われる。
まるで自分の気持ちを押し付けるような強引なキス。
思考停止している私から
先輩は飛び退くように離れた。
申し訳無さそうな顔で目をそらす先輩。
目を泳がせながら
頑張ってクズ発言を絞り出しす先輩。
それがあまりにもおかしくて──。
なぜかショックを受けたように
固まった先輩がもっとおかしくて笑いが止まらない。
そう言ってもなお目をそらし続ける先輩に
ずっと隠していた気持ちが込み上げてくる。
私は勢いよく先輩に抱きついた。
もうこの気持ちは止められない───。