無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第8話

先輩は友達がいない

例のカッター女子事件の後
私が先輩の彼女だというウワサが一気に広まった。

登校途中、先輩の女子から睨まれたり
コソコソとウワサ話をする声がつきまとう。

椎名まこと
椎名まこと
(うぅ、もう嫌だ……)

半分涙目になりながら教室へと入ると
ほのかが私の手をとり窓際へと引っ張っていく。
椎名まこと
椎名まこと
ちょっ!ほのか?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
……

むっとした顔。
怒っていても可愛いなんてズルいな。
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
どういうこと?説明して
椎名まこと
椎名まこと
……先輩のこと?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
それ以外ないでしょ
私が狙ってたこと知ってたのに
付き合ったの?
椎名まこと
椎名まこと
いやそれが……

私は今までのことを事細かに説明した。

だってほのかには嘘なんてつけない。

不安そうなほのかの顔は話が終わる頃には
ほころんでいた。
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
よかった~~
ウソの彼女なんだ!
心配して損しちゃった
椎名まこと
椎名まこと
もしかして私のこと
心配してくれたの?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
違う違う!
先輩に彼女が
できちゃったのかと思って…
そっちが心配だったの
椎名まこと
椎名まこと
あ……そ、そっか
でもあんな酷いフラれ方したのに
まだ好きなの?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
ああいうタイプもアリかなって!
告白の時泣いたの、実は演技なんだ
ほのかの涙になびかない男なんて
先輩だけだもん
やっぱり特別だって思っちゃった
椎名まこと
椎名まこと
なるほど……
椎名まこと
椎名まこと
(傷ついてないならよかったけど)
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
そうだ、もしかして
先輩のLIME知ってる?
ほのかにも教えて!
椎名まこと
椎名まこと
LIME?それって、
椎名まこと
椎名まこと
(また告白するの?)

そう言いそうになって言葉を飲み込む。

まだ先輩を諦めていないほのかに
なんだか胸がチクリと痛む。
ん? なんだろ、この嫌な痛み​────
椎名まこと
椎名まこと
とりあえず
先輩に聞いてみるね
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
よろしく~!
まことと友達でよかった〜!
椎名まこと
椎名まこと
あ、あはは〜

胸の痛みは消えないまま午前中は過ぎていった。



***
大雅
今すぐ裏階段にこい!
大雅
あと購買でサンドイッチ買ってこい
甘いタマゴのやつな
大雅
あ、それと
いちごミルクティーも
***
椎名まこと
椎名まこと

(もう!この人、何様のつもり!?)



先輩は前よりも横暴になった。

遠慮が無くなったというか、
ワガママになったというか……。
椎名まこと
椎名まこと
はい、買ってきましたよ
今日は何人断るつもりですか?
楠木大雅
楠木大雅
告白?
今日はねーよ
椎名まこと
椎名まこと
え?
楠木大雅
楠木大雅
しーなとの噂が広まったから
今日は誰も告白に来ねえよ
椎名まこと
椎名まこと
じゃあ純粋に私を
パシリに使ったんですか?
サンドイッチくらい自分で
買って下さい!
楠木大雅
楠木大雅
いーだろ、別に


むっとむくれた顔。
この人、絶対わざとやってる……。

顔面偏差値100でその顔はズルい!

椎名まこと
椎名まこと
もしかして、寂しいんですか?
先輩いつも一人だし
楠木大雅
楠木大雅
は?ちげーよ
椎名まこと
椎名まこと
友達がいないとか?
私が紹介してあげましょうか?
楠木大雅
楠木大雅
はぁ!?余計なお世話だっつの!
椎名まこと
椎名まこと
でもそうじゃないと
こうやって私を呼びつける意味
ないですよね

なぜか気にさわったのか
先輩はそっぽをむいた。
楠木大雅
楠木大雅
 お前のお節介って
意外とグサッとくるよな
椎名まこと
椎名まこと
え?
楠木大雅
楠木大雅
なんでもねえよ!
こうやって昼休み一緒に
過ごしとかねえと
ホントの彼女に見えねーだろ
椎名まこと
椎名まこと
じゃあなんで誰も寄り付かない
裏階段に呼び出すんですか?
楠木大雅
楠木大雅
なんかねえと
呼んじゃダメなのかよ!
椎名まこと
椎名まこと
え!?
いや、それは……
楠木大雅
楠木大雅
突っ立ってないで早く座れ!

どうやら今日は特に機嫌が悪いみたい。

先輩は私を隣に座らせ
サンドイッチを乱暴に開けて無言で食べ始めた。
楠木大雅
楠木大雅
もごご!ごほっ!
椎名まこと
椎名まこと
あ~、急いで食べるから
詰まらせるんですよ
ほら、いちごミルク飲んで下さい

ストローをさして手渡すと先輩が私を睨む。
楠木大雅
楠木大雅
なんでそんなお節介なわけ?
椎名まこと
椎名まこと
これはお母さんの受け売りなんです!
もう、いないんですけどね……
楠木大雅
楠木大雅
ふ~ん
俺も母親なんかいねーし
一緒だな

そう言ってまた先輩はもぐもぐと
サンドイッチを食べ始めた。

その横顔はなんだか寂しそうで
初めて会った日のことを思い出す。


​──────
​────
楠木大雅
お…かあ……さん

倒れた先輩はうなされながら
しきりに母親を呼んでいた……。


きっと何かあったんだろう。

でも私が踏み込んではいけない一線だと
静かに口を閉じる。
楠木大雅
楠木大雅
ん!ほらしーなも食え!
椎名まこと
椎名まこと
え!?もういらないんですか?
楠木大雅
楠木大雅
いつもの無駄な元気はどうしたんだよ
もしかして腹痛いの?
椎名まこと
椎名まこと
無駄は余計ですよ!
先輩も人の心配とかするんですね
楠木大雅
楠木大雅
は?心配なんかしてねーし
もしお前が体調不良で学校休んだら
困るのは俺だからな
椎名まこと
椎名まこと
はぁ…そうですか
期待した私がバカでした
楠木大雅
楠木大雅
俺に期待すんな

一向に直らないクズな先輩を前に
私はある決意をする。
椎名まこと
椎名まこと
先輩、そろそろクズは
卒業しませんか?
楠木大雅
楠木大雅
えっ
椎名まこと
椎名まこと
今日から本格的に
先輩更生計画を
実行していきます!!
楠木大雅
楠木大雅
はぁ!?