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第4話

先輩の呼び出しは絶対です
先輩の「ウソの彼女」になって早3日。

絶え間ないLIMEの通知に
私は深いため息をついていた。
***

大雅
体育館裏、今すぐ来い
まこと
今ですか?
大雅
今!
大雅
すぐ!
大雅
走って来い!
***
こうして休み時間に呼び出される理由は
先輩の告白を断るため。
楠木大雅
楠木大雅
遅い
椎名まこと
椎名まこと
私は便利屋じゃありません!
楠木大雅
楠木大雅
便利屋?
お前は俺の彼女だろ

先輩はそのまま私を女子生徒の前に押し出す。
楠木大雅
楠木大雅
ってなわけで
俺こいつと付き合ってんの
女子
えっ?
椎名まこと
椎名まこと
ごっごめんなさい!
今にも泣き出しそうな女子生徒に
私は申し訳ない気持ちで精一杯頭を下げた。
女子
なによ!
別に見せつけなくてもいいでしょっ
走り去っていく女子生徒。
嘘をついている罪悪感で胸がズンと重くなった。
楠木大雅
楠木大雅
今日はあと2人あるから
よろしく

目も合わせず帰っていく先輩の背中を見て
どうしたものかと頭を抱える。
椎名まこと
椎名まこと

(この先輩、想像以上にクズだ!!)



​───昼休み、本日2回目の呼び出し。
楠木大雅
楠木大雅
このちんちくりんの方が
お前より可愛いから
女子
で、でも……
楠木大雅
楠木大雅
はぁ……ったく
何回言ったら分かんだよブス
椎名まこと
椎名まこと
ちょっと、そんな言い方
楠木大雅
楠木大雅
お前は黙ってろ

見るからに大人っぽい先輩女子は
涙の溜まった目で私をキッと睨んだ。
女子
私よりアンタのほうがブスよ!!
椎名まこと
椎名まこと
(ご、ごもっともです……)
楠木先輩はそれを見て楽しそうに笑った。

本当に趣味が悪い。





​───そして本日3回目の呼び出し。
楠木大雅
楠木大雅
俺、コイツと付き合ってるから
女子
なら2番目でもいいです!
楠木大雅
楠木大雅
はぁ?
俺はコイツしか見えねーんだよ
自惚れてんじゃねえ

本当ならキュンとするセリフなんだろうけど
……私にはまったく通用しない。
女子
私、諦めません!
椎名まこと
椎名まこと
(おっと、今回は手こずってますね
ぷぷっ!少しは困ればいいんだ!)

先輩が助けを求めてチラチラ見てくるけど
そっと目をそらして知らんぷり。
楠木大雅
楠木大雅
ちっ
女子
きゃ!
先輩は私のヘルプを諦めて
女子生徒を脅すように睨んだ。
楠木大雅
楠木大雅
一生俺に顔見せんな、不愉快
……さっさと帰れ

ドスの利いた低い声。

怯えた女子生徒は涙をボロボロと
こぼしながら私を見た。
女子
最低

グサッ!
罪悪感の残る胸に彼女の言葉が突き刺さる。


私のウソがこの子たちを傷つけてるんだ……。


そんな私の気も知らず
先輩は走り去っていく女子を
満足そうな笑顔で見送っている。

椎名まこと
椎名まこと
ちょっといいですか
楠木大雅
楠木大雅
何?
椎名まこと
椎名まこと
もっと優しい言い方は
できないんですか?
泣かせる必要なんてないです
楠木大雅
楠木大雅
女なんて
ひどい目にあえばいいんだよ
椎名まこと
椎名まこと
過去に女性と
何があったか知りませんが
椎名まこと
椎名まこと
少しは言葉を選んでください!
みんな先輩を本気で好きになって
告白してるんですよ
楠木大雅
楠木大雅
ははっ…くっだらねえ
楠木大雅
楠木大雅
中身を知らないで
よく人を好きになれるよな
自分の好意を押し付けるのって
ただの自己満じゃねえか
椎名まこと
椎名まこと
でも
楠木大雅
楠木大雅
文句があんならもうやめる?
お前お節介だし、そういう偽善
押し付けられる身にもなれっての
椎名まこと
椎名まこと
偽善?
楠木大雅
楠木大雅
そうだろ
お前は「誰かのために~」なんて
思ってんだろうけど
所詮は自分のエゴなんだよ
楠木大雅
楠木大雅
正直そう言うの
押し付けがましいんだよ!!
椎名まこと
椎名まこと
……っ!

その言葉でトラウマがフラッシュバックした。
忘れたい最低最悪な思い出。

押し付けがましいんだよ!!
俺のことは放おっておいてくれ
でもっ

私の父はこの世で一番のクズ男だ。

病気がちな母に黙って
家のお金を盗んではパチンコに通い
少ない生活費を使い果たした。

そして母が入院し、危篤だと知らせても
病院に一度も来なかった最低な男。

楠木大雅
楠木大雅
お前がもっと美人なら
「彼女役」も様になっただろ
ちんちくりんだし、顔は中の中だし
まじで人選ミスったわ

まくし立てるように降ってくるヒドイ言葉。
先輩とクズな父親が重なって見えた。

楠木大雅
楠木大雅
図星だから黙ってんだろ
黙り込んで泣けば許されるってか?
ははっ、これだから女は……

パシン​ッ───────・・・!
楠木大雅
楠木大雅
いって!!
おま、何すんだよっ
椎名まこと
椎名まこと
……らい
楠木大雅
楠木大雅
え?
椎名まこと
椎名まこと
先輩なんて大嫌いですっ

嫌だ、涙が溢れてくる。
泣かないって決めてたのに……。
楠木大雅
楠木大雅
お、おいっ
お前……泣い、てんのか?
椎名まこと
椎名まこと
お前って言うなっ

私はそう言って
困惑する先輩をそのままに
その場から逃げ出した。