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第3話

楠木先輩の彼女になりました
      
楠木大雅
楠木大雅
お前、俺の女になれ
先輩の言葉を理解するまで30秒ほどかかった。
椎名まこと
椎名まこと
え?
今、「俺の女になれ」って言った?
椎名まこと
椎名まこと
(いや、聞き間違いだよね…
だって全然ドキドキ展開とかじゃ
なかったし、どちらかというと
ヒヤヒヤ展開だったし)
楠木大雅
楠木大雅
なあ、聞いてんの?
俺の女になれって言ったんだけど
椎名まこと
椎名まこと
と、とえりあえず
保健室行きましょう!!
多分さっき倒れた時に
頭を打っちゃったんですよ
楠木大雅
楠木大雅
は?打ってねえよ
椎名まこと
椎名まこと
本当ですか?
でもとりあえず
保健室で冷やした方が!
楠木大雅
楠木大雅
保健室はやめろっ
先輩はまた気分が悪そうに口元を押さえた。
楠木大雅
楠木大雅
保健室にいるあの女教師、
オンナオンナしてるっていうか
とにかく香水の匂いがキツすぎて
余計に具合が悪くなるっての
椎名まこと
椎名まこと
そ、そうなんですね
楠木大雅
楠木大雅
もうお前にはバレてるから言うけど
俺は重度の女性恐怖症なんだ
椎名まこと
椎名まこと
重度の女性恐怖症……
先輩はそのまま、階段の踊り場から
遠くの景色に目を向ける。
楠木大雅
楠木大雅
だから毎日女から告られるのが
怖いんだよ、断るのメンドーだし
椎名まこと
椎名まこと
はぁ
楠木大雅
楠木大雅
ってことでお前が俺の彼女になれ
まぁ、ウソの「彼女役」だけどな
椎名まこと
椎名まこと
どうして私なんですか
嫌です!
楠木大雅
楠木大雅
お前ってホント珍しいヤツだよな
俺とウソでも付き合えるって聞けば
そこらへんの女は飛びついてくんのに
椎名まこと
椎名まこと
じゃあ別の人に頼んでくださっ
全部いい切る前に先輩が私の方へ向き直る。
楠木大雅
楠木大雅
お前じゃないとダメなんだ
椎名まこと
椎名まこと
へ?
どきりと心臓がハネた。

見上げる瞳は太陽に透けて
まるで宝石みたい。

綺麗──
楠木大雅
楠木大雅
なぁ、ダメ?
まるで捨てられた子犬のように寂しそうな顔。

放っておけないしょんぼりとしたその表情に
思わず息を飲む。
椎名まこと
椎名まこと
(そ、そんな顔されたら……!)

こっそり飼っていた
捨て犬のコロ助を思い出す。

後で父親にバレて
捨てられちゃったんだけど……。
楠木大雅
楠木大雅
……ダメ?
椎名まこと
椎名まこと
私に任せてください!
……あっ

口をついて出た返事に後悔する。
時すでに遅し。

先輩はお腹を抱えて笑い出した。
楠木大雅
楠木大雅
ぷっははは!
お前チョロいな
椎名まこと
椎名まこと
もしかして今の全部演技ですか?
楠木大雅
楠木大雅
さあな
でもやるって言ったからには
ちゃんと彼女として振る舞えよ
言質とったから
椎名まこと
椎名まこと
な……!
やっぱり先輩ってクズですね!
楠木大雅
楠木大雅
女の噂がウソでも
俺はフツーにクズだから
あと、絶対に、
俺のこと好きになんなよ?
迷惑だから
椎名まこと
椎名まこと
間違ってもなりませんよ!
気づけばまんまと先輩の罠にハマっていた。

クズという生き物は
こうやって人の善意を利用するものなんだ。

つくづく振り回されっぱなしの私は
ある決意をする。
椎名まこと
椎名まこと
分かりました……
やるからには
とことんやりますよ!
自他ともに認めるお節介の本気、
見せてあげます!
椎名まこと
椎名まこと
先輩の女性恐怖症も
そのねじ曲がったクズな性格も
全部私がなおしてみせます!
楠木大雅
楠木大雅
は?
いや、そんなこと頼んでねえよ!
椎名まこと
椎名まこと
遠慮しないでください
クズはだいっっっ嫌いなので
この私が矯正してあげます!
楠木大雅
楠木大雅
いや遠慮とかじゃなくて
頼んでねえっつってんの!
余計なことすんじゃねえ!!
椎名まこと
椎名まこと
女性恐怖症が治れば
女子にも優しくなって、クズな性格
だってマシになるはずです!
楠木大雅
楠木大雅
くそ、人選ミスったか?
椎名まこと
椎名まこと
なにか言いました?
楠木大雅
楠木大雅
なんでもねえよ!!
はぁ~~~くそ……
楠木大雅
楠木大雅
まじミスった……


先輩は頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。