無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第6話

先輩とかくれんぼ
楠木大雅
楠木大雅
見てんなら早く助けろよな〜…
私の手をぎゅっと握った先輩は
その場にしゃがみこんだ。


先輩の手はやけに冷えていて相当焦ったんだろう。

すっと手を引き抜くと
先輩はジロリと上目使いで睨んできた。
楠木大雅
楠木大雅
てか、なんで
俺のLIME無視すんの?
椎名まこと
椎名まこと
少しは反省して下さい!
私だってあんな風にヒドイこと
言われば傷つきますよ
楠木大雅
楠木大雅
ヒドイって何が?

キョトンとした表情に少し腹が立つ。
椎名まこと
椎名まこと
(もしかして自覚なし!?)

クズ男め、なんとかしなければ……!

お節介がいくら偽善だエゴだと言われても
この先輩だけは更生させなきゃ!
椎名まこと
椎名まこと
先輩、これからは
私のことは名前で呼んで下さい
「お前」は禁止です
楠木大雅
楠木大雅
は?なんでそんな面倒なこと
椎名まこと
椎名まこと
もう助けてあげませんよ
楠木大雅
楠木大雅
…っ!わ、分かったよ
しーなまこと、だろ?
椎名まこと
椎名まこと
名前、覚えてくれてたんですか?
楠木大雅
楠木大雅
当たり前だろ?
仮にもお前は俺の彼女だし
椎名まこと
椎名まこと
お前?
楠木大雅
楠木大雅
はいはい、しーな!
ちっ……くそ、めんどくせーな

照れくさいのか、目をそらした先輩。
しかしその顔はまたさーっと青ざめていく。
椎名まこと
椎名まこと
どうかしました?
楠木大雅
楠木大雅
しっ!
あの女が来たっ……

先輩は私の手を引いて植木の下に引き込んだ。
中庭ではまだ例の女子が先輩を探しているようだ。
女子
女子
せんぱぁ~い?
どこですかぁ~?

まるでかくれんぼだ。

少し怯えた先輩が身を寄せて
ぐっとキョリが近くなる。

​─────って、近い!近い!

クズ男のくせに
先輩からは爽やかな柔軟剤の匂いがして
夕日に透けたアッシュブラウンの髪はすごく綺麗。

椎名まこと
椎名まこと
(女子が好きになるのも分かるかも……いや待て私!この人は女嫌いのクズだよ!?クズは大嫌いなんだから……!)

そうやって言い聞かせる自分が
少しバカバカしくなった。

我に返ると、ふとこの状況に疑問が浮かぶ。
椎名まこと
椎名まこと
あの、先輩?
楠木大雅
楠木大雅
しーっ!見つかるだろ
椎名まこと
椎名まこと
私、女ですけど……
こんなに近づいても
平気なんですか?
楠木大雅
楠木大雅
あぁ?

ばちっと音がするくらいに至近距離で目が合う。
楠木大雅
楠木大雅
ははっ!
お前はちんちくりんで
女っぽくねえから、気にすんな

そう言って笑う先輩にもやっとする。
椎名まこと
椎名まこと
そうですか
楠木大雅
楠木大雅
あれ?なんか怒ってる?
あ、俺また「お前」って言った?
わりー
椎名まこと
椎名まこと
別にそれは・・・いいですよ……
まとはずれな謝罪。
別に先輩に女として見られなくても問題ないし。

むしろ女性恐怖症を治すには
女っぽくない女が一番の適任だろうし?

なのに、どうしてこんなに
胸の奥がもやもやるすんだろう……。
もしかして、何かの病気?
椎名まこと
椎名まこと
(そうだ、クズアレルギーだ!)
女子
女子
みーつけたぁ!
椎名まこと
椎名まこと
うわぁ!
楠木大雅
楠木大雅
ひっ!

完全に油断していた。

目の前の先輩が固まったまま、
声の方向を凝視している。
女子
女子
2人きりで何してるのぉ?
どうして逃げるの?

低く憎しみのこもった声に背筋が凍る。

女子の手元を見ると
キラリと光る刃物が見えた。
椎名まこと
椎名まこと
(や、やばい!逃げなくちゃ!)

恐怖で固まった先輩の手を取り
私は一目散に逃げた。
椎名まこと
椎名まこと
先輩!しっかりしてください!
あの子、刃物持ってましたよ!?
楠木大雅
楠木大雅
う、嘘だろ……?
殺される!
椎名まこと
椎名まこと
自業自得ですよ!
女子を傷つけた罰が下ったんです
楠木大雅
楠木大雅
冗談じゃねえ!
ってか、お前足速すぎ
椎名まこと
椎名まこと
お前?
楠木大雅
楠木大雅
ったく、まじでめんどくせえヤツ

私は立ち止まり先輩の手を放した。
いつまでも掴んでる意味なんてないし。

だけど、先輩はあわあわとうろたえ始めた。
楠木大雅
楠木大雅
も、もしかして
ここまで来て俺のこと見捨てるのか?
楠木大雅
楠木大雅
お前って言って、その、悪かった!
この前だって色々言っちまったし……

だんだん小さくなる声。
まるで捨てられた子犬のようにしゅんとした顔。
椎名まこと
椎名まこと
見捨てたりしませんよ
楠木大雅
楠木大雅
……っな!
なら早くそう言えよ
椎名まこと
椎名まこと
勝手に勘違いしたのは
先輩じゃないですか
楠木大雅
楠木大雅
うるせえな
いきなり手放すから、ビビったんだよ……
椎名まこと
椎名まこと
え?何か言いました?
楠木大雅
楠木大雅
うるせえ!
別になんでもねーよ!

そんな言い合いをしていると
ぺたぺたと湿った足音が近づいてくる。
女子
女子
そこにいるんでしょぉ~?


ここは校舎3階の廊下。

唯一の逃げ場である階段方向からは足音が響き
私達はいつの間にか校舎奥の実験室へと
追い詰められていた。


私は覚悟を決めて
先輩を誰もいない実験室へと押し込む。
椎名まこと
椎名まこと
先輩はここにいて下さい
楠木大雅
楠木大雅
え!?ちょっとおい!
お前はどうすんだよ!?

私は実験室のドアを閉め
足音のする方へと歩いていった。