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第1話

お節介でごめんなさい!


私は椎名しいなまこと高校2年生。
自他ともに認める「お節介」だ。

「困っている人は放っておけないでしょ」

これは3年前天国に行っちゃった
お母さんの受け売り。
椎名まこと
椎名まこと
で、告白するのは昼休み?
呼び出した場所は?
相手は誰なの?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
ちょっと、しー!
声大きいよっ
椎名まこと
椎名まこと
ごめんっ
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
とにかく!
先輩に告白するってバレたら
もう男子にチヤホヤされなく
なっちゃうじゃん…やめてよね
この子は同じクラスで友達の瀬尾せおほのか。

フった男子は数知れず。
でも可愛い見た目に反して、したたかで計算高い。
椎名まこと
椎名まこと
ついていかなくて大丈夫?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
ついてくるつもりだったの?
お節介にも程があるよ…
椎名まこと
椎名まこと
う〜〜そっか……
なら相手だけでも教えて!
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
まことにだけは
言いたくなかったんだけどな
椎名まこと
椎名まこと
どうして?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
だって……
相手は学校イチのクズ男だもん
椎名まこと
椎名まこと
ク、クズ男ぉおお?!
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
しーっ!

思わず大声をあげてしまった。

だって私にとって「クズ男」は
この世から排除すべき人種だから。
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
楠木先輩っていってね
クズだけどすっごくイケメンなの
椎名まこと
椎名まこと
顔がよくても性格がクズじゃ…
思わず嫌な顔をしちゃったけど
ほのかは気にせずぽぅっと頬を赤らめた。
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
悪い男をほのかだけのモノに
したいじゃん
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
それにイケメンだから自慢できるもん
優越感とかステータス?
みたいなのを感じるっていうか
椎名まこと
椎名まこと
な、なるほど?
(全然分からない!)

ほのか曰くその楠木くすのき先輩は
周りから「クズノキ」と呼ばれるほどに
クズ中のクズらしい。

先輩のせいでカップルが100組別れたとか
毎日キスマークを大量につけているとか
女の先生を言いなりにさせているとか
特定の彼女は作らないとか

頭が痛くなりそうなウワサばかり。
椎名まこと
椎名まこと
(ほのかがフられるはずないけど
 もし何かあったら大変…!)

これはお節介じゃない…!
ちょっと見守るだけだから!

心の中で必死に言い訳しながら
私はひっそりと彼女を尾行することにした。



***

昼休み。
学校の校舎裏には誰も近づかない外階段がある。

私は気配を消して階段を
駆け上がっていくほのかをこっそりと見送った。

私は2人からは見えない場所で聞き耳をたてる。
??
で、何の用?

抑揚よくようのない声が響いた。
姿は見えないけどおそらく例の先輩だろう。

瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
あの……好きです!
私と付き合って下さい
??
……うざ
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
えっ?
??
お前「わたしモテますよ~」
ってオーラが出てんだよ
??
正直そういう女って
自意識過剰じいしきかじょうが多いから
ムリなんだわ
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
そんなっ……
??
あ〜、もしかして自分だったら
俺の彼女になれると思った?
あははっ!バカらしっ
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
でもっ
??
聞き分けの悪い女だな
断ってるのわかんないワケ?
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
うっ……
??
はぁー…そうやって
泣けばいと思ってんだ!
はいはい、わかったよ
付き合ってやるよ
??
まぁお前、25番目だけど
瀬尾ほのか
瀬尾ほのか
ぅ……っ最低!
パシンッ!と乾いた音が響いた。

ほのかはうつむきながら階段を駆け下り
私に気づかず走り去っていく。


ほのか、泣いてた……
椎名まこと
椎名まこと
クズが…!
ぐわりと湧き上がる怒りに任せ、
私は階段を駆け上がる。

そこには片頬を赤くした男が立っていて──

楠木大雅
楠木大雅
……何?
椎名まこと
椎名まこと
ほのかに謝って下さい!

けだるげな視線。
風になびく日に透けたアッシュブラウンの髪。

だらしなくはだけた胸元からは色白の肌が覗き
そして非の打ち所がない整った顔が私を見据える。

これはモテる……
悔しくなるほど整ったイケメンがそこにいた。
楠木大雅
楠木大雅
友達のためってやつ?
ははっ、ダッサ
楠木大雅
楠木大雅
お節介な偽善者ぎぜんしゃって
俺大っ嫌いなんだよね
椎名まこと
椎名まこと
私だってあなたみたいな人
大っ嫌いです!
楠木大雅
楠木大雅
はっ?
一瞬面食らったように固まる先輩。
楠木大雅
楠木大雅
この俺を大っ嫌いだ……?
お前変わったヤツだな
女、だよな?
椎名まこと
椎名まこと
はい?
楠木大雅
楠木大雅
とにかく俺は悪くねえし謝らない
椎名まこと
椎名まこと
なっ!
楠木大雅
楠木大雅
はぁーーー……面倒くさ
あの女だって泣かされるくらいが
ちょうどいいだろ


""ぷっつーーーん!""


私の中で何かが切れた音がした。

煮え立つような怒りとともに
私はクズ男の胸ぐらに掴みかかった。
椎名まこと
椎名まこと
あなたみたいなクズがいるから
お母さんはっ!
勢い余ってぼろりと言葉がこぼれ落ちた。

しかし、目の前のクズ男は
ガチリと動きを止めて氷のように固まった。
楠木大雅
楠木大雅
ひっ
椎名まこと
椎名まこと
……えっ?
先輩から手を離すとその場にへたり込んで、
苦しそうに肩で息をしている。
椎名まこと
椎名まこと
大丈夫ですか!?
慌てて先輩に手を差し伸べるも、涙目で後ずさる。
楠木大雅
楠木大雅
ひっ!!
く、来るな……!

そのまま先輩はばたりと倒れて気絶した。