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第19話

クズなりの心 side:楠木


椎名まこと
椎名まこと
が、学校戻らなきゃ…!!
遠ざかっていくしーなの足音を聞きながら
俺はそっと目を開けた。
楠木大雅
楠木大雅
ったく、しーなのやつ……
何してんだよ

触れられた頬が熱くて、寝返りをうつ。

本当は眠ってなんかいない。

ただ、あいつが変に気を遣わないように
寝たフリをしてただけだ。

それなのに……勝手に触れてきやがって!
楠木大雅
楠木大雅
 全然、嫌じゃなかったけどさ

しーなから触れられても嫌悪感はない。
他の女なら吐き気しかしねーのに。
なんでだ……?
楠木大雅
楠木大雅
はぁ、クズな親父か……
お互い親で苦労してんだな

やけに熱っぽい体を引きずって
一階のキッチンに水を取りにいく。

冷蔵庫を開けると、そこにはタッパーに入れられた
お粥と、手作りの卵焼きが置いてあった。
椎名まこと
椎名まこと
(レンジで温めて食べてくださいね)
楠木大雅
楠木大雅
ぷっ!!あいつ
どんだけお節介なんだよ

思わず吹き出して器の上のメモを手に取る。

ちいさな丸っこい文字にじわりと心が暖かくなって
無性に泣きたくなった。

しーな……。
楠木大雅
楠木大雅
こういうの
好き……かも
ぽつりとこぼれた言葉に思わず口を塞ぐ。


は!?俺、今好きって言ったか!?
あんな、ちんちくりんのしーなを!?

いや、ちんちくりんなところが可愛いんだけど……。
楠木大雅
楠木大雅
って、ああああ!!
何考えてんだ俺!

今まで無意識に自分の気持ちを
見て見ぬ振りしてきた。

改めて「好き」だと自覚した途端、
一気に体温が上がっていく。

正直言って恥ずかしくて死にそうだ!

俺はふらふらしながらそのまま自室に戻った。


ばふっ!

ベッドにうつ伏せに寝転がって
バタバタと手足を動かす。
楠木大雅
楠木大雅
ああああああああぁぁぁくそっ!
どーすればいいんだよ

女を好きになるなんてはじめてのこと。

何をどうすればいいのかわかんねー。
楠木大雅
楠木大雅
明日土曜だし、風邪が長引いてるって
ウソついて呼び出すか?
いや、でもウソってバレて嫌われたら…

この俺が嫌われるかどうかで悩む日が来るなんて。

クズな発言とか嫌われる方法なら
いくらでも思い浮かぶってのに!
楠木大雅
楠木大雅
……わっかんねー
もう……寝る!!

一旦考えるのをやめて俺はそのまま目を閉じた。






​────翌日。

ピピピ……
体温計は残念なことに36度の平熱を知らせる。
楠木大雅
楠木大雅
……熱下がってるし
これじゃ、しーなを呼び出す口実が…
好きだと自覚してから頭の中はしーなのことばかり。


俺は今、完全にしーなへの思いを
持て余している……!!
楠木大雅
楠木大雅
 やっぱ熱あるとかウソついて呼び出すか……?
いやでも……

独り言を呟きながら歩いていると
コンビニ前でダラしなくアロハシャツを着た髭面の
おっさんに声をかけられた。
??
??
おい兄ちゃん
ちょっとタバコ代
貸してくれねえか?
楠木大雅
楠木大雅
は?
??
??
ちょっと競馬で負けちまってよ
いつか返すからさ、な?

こいつ、見るからにクズだ。


「いつか返す」ほど信用できない言葉はない。
俺が渋っていると、おっさんは世間話を始めた。
??
??
オレにも兄ちゃんくらいの
娘がいるんだけどさ〜
昨日なんか思い詰めた顔で
帰ってきてなぁ、
オレはクズな親父だから
なんも聞けなくてよ……
楠木大雅
楠木大雅
はぁ、そっすか

半分上の空で聞いていると
スマホがポコンと音を立てる。
??
??
オレだって本当はちゃんとしたいと
思ってるんだけどさぁー……
兄ちゃんなんかアドバイスくれねえか?
楠木大雅
楠木大雅
いや、知らないっすよ

スマホ画面には「しーな」の文字。
楠木大雅
楠木大雅
(うお!?しーな!?!?)
***
まこと
先輩、もう大丈夫ですか?
ちゃんと薬飲んでくださいね

***


相変わらずのお節介な文面。
でも、それがすっげえ嬉しい。
楠木大雅
楠木大雅
おっさん、タバコ代貸してやるよ
??
??
え!?いいのか兄ちゃん!
楠木大雅
楠木大雅
今、気分いーから特別な!
でも絶対返せよ
あと娘は大事にしろ!
??
??
ははは、それは違ぇねーな
ま、いつか返すよ

絶対返さないやつのセリフを吐いて
おっさんは嬉しそうにコンビニに入っていった。
楠木大雅
楠木大雅
しーな、俺のこと心配してんのか……

勝手に頬が緩む。


さて、なんて返そうか……?

悩みに悩んで返事を送ったのは2時間あとの話​──。




***
まこと
先輩、もう大丈夫ですか?
ちゃんと薬飲んでくださいね
大雅
大丈夫
まこと
よかったです!
***