第2話

&Love
2,211
2018/09/22 10:21
"飛貴 、コンビニで牛乳買ってきて !!"


『 ……… また ?』


母親とのメッセージ画面を見ながら溜息をひとつ 。


俺の母はよく物を買い忘れる 。


今回もきっとそうだろう 。


近くにあったコンビニに入り 、飲み物が置いてある棚へ向かった 。


『あった !これだけでいいのかな ?』


スマホを取り出し 、母にメッセージを送ろうとした瞬間 、


「全員動くなっ !!!!!」



突然聞こえた大きな声 。


振り向くと拳銃らしき物を持った男がいた 。


男「動いたら殺すからな !!!!」


隣の客に拳銃を突きつけ 、俺らを脅す 。


『っ 、』


怖い 。


心の中が恐怖で埋もれる 。


男「おい店長 !!今すぐこの店閉めろ」


長「え 、でも …… 」


男「閉めろっつってんだよ !!さっさとしろ !」


長「は 、はい」


店長は慌てながらも店のシャッターを全て下ろした 。


男「閉めたな 。そしたら全員壁の方を向いて座れ」


『 ……… 』


俺は犯人に背を向けて 、ゆっくりと腰を下ろした 。





犯人がこのコンビニに引きこもり始めてから約30分 。


別に何かをする訳でもなく 、ただ引きこもっているだけ 。


一体何をしたいんだろう 。


「 ……… ふふ」


すると 、隣の女の子が小さく笑い 、立ち上がる 。


『えっ !!』


男「お 、おい !なに勝手に立ってんだよ !?撃つぞ !!」


女の子はその言葉を無視して 、犯人の元へ向かって行く 。


犯人の前まで来た時 、女の子は言った 。


「嘘つき 、お疲れ様」


男「はっ ?何言ってんだよ」


「その拳銃 、偽物ね 。バレバレよ」


男「に 、偽物なわけねえだろ !!」


「へえ 、じゃあ撃てば ?」


男「っ 、!」


『あ 、危ないよ !』


「うるさい 、黙ってて」


『すいません ……… 』


って 、なんで謝ってんだよ俺 !!


男だから守らないと !


「ほら 、撃てるんでしょ ?早く撃ちなよ」


男「 ……… くっ 、」


すると犯人は断念したように崩れ落ち 、


「ふふ 、」


女の子は馬鹿にするように笑った 。


『な 、なんで偽物ってわかったの !?!?』


「明らかに撃つ気がない 。というか 、引き金を引けないようになってたから」


『え ……… !!!』


「あ 、瑞稀が待ってるからじゃあね」


そう言って女の子は去っていった 。


『瑞稀 ……… ??』


誰かの名前かな 。


もしかして 、彼氏の名前とか ?


『 ……… やだ』


会ったばっかりなのに 、


初めて話したばっかりなのに 、


どうしてこんな気持ちになるの ?

プリ小説オーディオドラマ